白隠禅師に関しては、国宝のような頂相をもとに、するのと勝手が違い、いささか解像度不足のイメージから、こんな顔の人間なら、こんな自画像を描くのではないか？という発想で制作してみた。作家シリーズで長らく作家をその作品世界の中に登場させて来たが、白隠を白隠描く禅画の登場人物にしてみたいと思い、一度断念したが思い返した。最初の1カットは『隻手の声』より白隠描く『隻手布袋図』にちなみ『隻手白隠図』としたい。 作家シリーズで最初に作家を作中に、と浮かんだのは江戸川乱歩が屋根裏に潜んでいるところであった。私と目があった乱歩は「君、ヨソでいっちゃ困るよ。」といった。
