ジャズ、ブルース、作家と作って来たが、現在のモチーフの違いといえば、元になった肖像画、頂相が、その人物の教えそのものとされ、弟子に託されて来たものであることである。ミュージシャンはその音楽、作家は著作こそが肝腎であり、それらの人達のポートレートがその人そのものとされることなどない。小学生の私が百科事典の別巻で頂相や頂相彫刻を飽きず眺めたのも、成分の違いというか、何かしら通常ならざるものを感じたのは間違いない。であるから生前描かれ、本人が賛まで書いている頂相があるのに、その後なぜか正確に伝わらない伝言ゲームのように、違う面相の肖像が作られ続けたのか釈然としない。全国にある蘭渓道隆の奇妙な頂相、彫刻も、中には明らかに建長寺まで来て頂相を写したものを元に創作した作品も残されているがごくわずかである。