手がけて来た人物で偉いという意味では大燈国師はトップクラスである。そして国師に帰依したという花園天皇がまた偉い。一度蘭渓道隆と北条時頼の対座シーンを考えたが、一カットのために二体作る大変さに断念。しかし鎌倉時代とはいえ天皇を作る機会などそうはないだろう。 交通局発行都営地下鉄のフリーペーパーの表紙を担当していた時、毎回次号の特集人物について居酒屋で話し合った。広告の関係上、営業から特集場所の意向が伝えられたが、次第に特集人物の選択が難しくなって来る。ある時編集長から昭和天皇案がチラッと。色めき立つ私とライター氏。特に私としては依頼でもなければ手がける機会などない。しかし一夜明けて酒が醒めてみれば制作が深沢七郎『風流夢譚』事件のトラウマがあるに違いない中央公論新社。雲散霧消となった。
9月28日