個展『没後50年三島由紀夫へのオマージュ 椿説男の死』(ふげん社)で三島作品を舞台に三島が死んでいるところを制作した。篠山紀信撮影の薔薇十字社版より五ヶ月早く発表出来たのは、三島からの褒美と考えている。エドガー・アラン・ポーの謎の死の場面を作ろうと考えたこともある。泥酔状態でサイズの合わない服を着て死んでいた。一説には酒を飲まされ投票所に連れて行かれ、何度も着替えさせられ、何人か分の投票をさせられボロ雑巾のようになって死んでいたという。私が手掛けたならさぞかし、と考えたが『モルグ街の殺人』と『大鴉』を完成させていたし、文学的名場面というわけでもなく。 そんなことを思い出したのは、脚が悪く曲がらないのを自ら折り、坐禅したまま亡くなったという大燈国師の遷化図は、おそらく数百年誰も描かず、この後も数百年、あるいは未来永劫、誰も描かないだろうなあ、と思った。
椿説弓張月
潮騒或いは真夏の死