おそらくはたからはそうは見えないだろうが、私はかなりの負けず嫌いである。なにしろ親戚の小学生にオセロを挑まれても対戦を拒否するくらいである。なので他人と競うような渡世に生きたなら、さぞや苦しんだことだろう。その点私の闘う相手といえば、もっぱらヘソ下三寸、丹田辺りにいるもう一人の私だけである。 昨晩、完成直前のつもりでいた大燈国師の、気になるところを直していたら、朝までかかって収取がつかなくなり、本日肝心の頭部を大幅に作り直すことになってしまった。こうなるとあまりに悔しいので、失敗して良かった、となるまでマムシにタコ脚の如く絶対に諦めることはない。