夜中に地球上でこんな物を作っているのは私だけだろう、という甘美な孤独感は何物にも代え難い。『乞食大燈像』の立体の作例は今までないのでは、と伺ったが、未踏のモチーフの宝庫である。 そもそも頭の中にあるイメージはどこへ消えて行ってしまうのだろう?という幼い頃の疑問に対し、それを頭から取り出し可視化し〝やっぱり在った“と確認することに、結局一生を費やすことになった。その代わり一度結果を確認し目的を果たしたものに対して実に冷たく、くるりと背中を向けタバコを一服、もう帰っていいよ。という有様で、年月と共に制作したデータはだいぶ失われてしまった。 とりあえず朝起きて顔を洗う前にまず眺め、食事も眺めながら、そして後ろ髪を引かれながら就寝。この状態が最もストレスのない状態で、気分転換など全くしたくない。今は『乞食大燈像』と蜜月状態である。