昨年暮れに亡くなった母は、私がチック症になるほどうるさかった。父が脱サラし、共働きとなり目が届かないことにも気を揉んでいた。学校に相談し、授業中連れ出され妙な施設に行き、様々なテストをされたり。しかしこれは治る類いのものではないと悟ったか、後には応援してくれるようになった。私は母が世間に迷惑をかけるような人間になることを心配していたとずっと思い込んでいた。そんなはずないのに。しかし母が心配していたのは、そんなことではなく、始業のチャイムが鳴っても図書室から出て来ず〝王様に石の塔に幽閉され、算数宿題しないで良いから、ここで一生好きなことだけやっておれ“なんて夢見るようなところだったのではないか?挙句に作りたいのは〝脱俗超凡の世界の住人だ“などとぬかしながら『乞食大燈』を作っている。