建長寺の龍王殿方丈というのは元々は住職の居住スペースだそうで。目の前に広がる庭園は、原型は開山大覚禅師、蘭渓道隆の設計と聞いていたので、縦2メートルの『蘭渓道隆天童山坐禅図』を真ん中に『蘭渓道隆とビャクシンの樹』と『山頂に立てる蘭渓道隆』を庭園を眺めるように配することだけは決めていた。自然光とそよ風が心地よい。高井正俊和尚様に見ていただき、よく勉強しているとのお言葉まで頂戴し、全ての作品を撮影いただいて恐縮する。今回のモチーフは美術的云々前に、修行された方にどう見えるか、それが何より気になるところであった。頂相が師の教えそのものとされて来たなら、人間の姿形には幼いころから関心が高い私が二年もの間凝視続けたのは、何かしら受信していたのだけは信じていた。