雲水姿の一休和尚は笠を持っているが、そういえば欠けていたな、なおそう、と思って出してきたが、和尚が横目で細かいことは気にするな。」という。法衣を削っているうち粉にまみれた。チリ埃を積もるままに任せてみたが、こうなあると、あまり関係なくなって来た。見方によれば汗が乾いて塩を吹いたように見えなくもない。しかし設定は正月の京都である。すると再び「細かいことは気にするな。」 この一休、作り初めたのはいつだったか、実はふげん社の個展時から顔が別人となっている。つまり何年も細かいことを気にしてきたので、もう笠が欠けていようが塩吹いていようがどうでも良い。思えば一休にたまたま陰影を与えて、鎌倉室町の陰影を与えられて来なかった人物にはむしろ陰影、立体感を、と一変したのも、一休なかりせば。