蘭渓道隆坐像は周囲が溶岩のような欅の一枚板に乗せるが、本来半憎坊用に入手したのであった。あらゆる災難に対処する半憎坊だが、特に火伏せで知られる。そこで書割りのような火焔に囲まれ印を結び呪文を唱える予定で少し大きめだったが、写真作品が想定よりカッコ良くなり過ぎ、被写体の出品を断念するという、良いんだか悪いんだかという事態に。そこで蘭渓道隆に変えてみたら少しも騒がず、むしろもっと大きくても、という感じである。無学祖元は元の兵隊に剣を向けられた『臨刃偈』(りんじんげ)あるいは『臨剣の頌』(りんけんのじゅ)と呼ばれる場面だが、こちらは当初製材された板を考えていたが、この名場面にも不定形な自然木を使いたくなってくる。