80年代の終わり頃、あるジャンルの実在した人物を描く画家と話したことがある。その人は主に既存の写真の背景を独自に変えて描いていたが、陰影のなかった日本画と違い、西洋画ではコラージュ感が否めず、複数の人が同じ空気を吸ってる感じがあまりしなかった。その人はもうネタが尽きて来たので、写真を裏焼きにして描くしかない、という。人間の顔というものは左右対称ではないので、顔を知られた著名な人では、そう都合良くは行かないだろう。その後どうしたかは知らないけれど。しかし、参考にした写真は、写真家が人物のある表情 をある時切り取った写真家の成果である。ポーズや背景変えても肝心要の表情がそれではと思った。