二十代で始めた最初期の架空のジャズ、ブルースシリーズの頃から着衣の調子はまるで変わっていない。頭部に時間をかけ、身体部分は一気に作るのは最初からである。自分にとって肝心な部分が込められていれば余計なことはしない。その肝心だと思った部分に重きを置いて写真を撮る。さらに拡大することにより、その部分が強調され表に出てくるようである。昔、デボラ・クロチコさんに私の作品は大きく伸ばした方が良い、といわれた時、そんなことをしたら粘土丸出し感がモロに出てしまうではないか、と思ったのだが。初めて人形と写真を展示した時、人間の実写と間違えた編集者がいた。今にして思うとコダックのTMZの像感現像が、それと同じ肝心なことを表出させる効果を生んでいたのだろう。プリンターの田村政実氏の勧めに従っただけだったが。