陰影がない手法のメリットといえば、構図の自由がある。かつての日本人がやったように、背景に主人公の心情を反映させることも可能である。しかしやってみると、構図の自由があるといいながら、どうしても絵巻物などの長焦点レンズ的になり、それが余計に古典的日本絵画調に見える理由でもある。広角レンズ的な写真的構図が合わない。これに関しては追求するほどの興味はない。 そういえば、曽我蕭白はタイムリーパーかのように超広角レンズを知っていたのではないか?というような『石橋図』があるが、線描の水墨画だから可能なのだろうか。水の表現と同様に、陰影のない写真作品ではやれる気がしない。
