全体像を作っているおかげで、予定と違う方向から撮ることに決めた。立体は作っていると、イメージしていなかったところも、出来上がってくるわけで、自分で作っていながら、始めて目にするイメージが現れる。絵画や、写る所だけしか作っていないと、こういう経験は出来ない。 途中から、荒れた海や燃え盛る炎に向けて霊力を発しているので、強風に煽られていることにしようとしたら、重心が変わり傾いて来た。まいったな、と思ったが、昔テレビで制作中の佐藤忠良の、粘土の人体が崩れるように倒れたのを観たことがある。佐藤忠良でさえ倒すのだから、私如きが倒しそう、になっても驚くことはない。強風の中の天狗というと、どうしてもつげ義春『ゲンセンカン主人』 を連想してしまう。