先週まで思いもしなかったものを作ろうとしている。何で?というのはグズな表層の脳であって、ヘソ下三寸の私はせっかちである。建長寺の最深部に半僧坊大権現がある。この辺りは絶景だそうだが、山伏姿の天狗の銅像が並んでいる。元は、ある禅僧が中国での修行を終えた帰路、嵐にあう。それを救ったのが、赤い顔で高い鼻の天狗のような日本で言う猿田彦みたいな物だったらしい。袈裟を着け、半分僧のように見えたことから半僧坊となった。各地に大権現はあり、天狗、あるいは烏天狗、不動明王のようであったり様々だが、袈裟を身に着けた物は見当たらない。天狗ではなく、袈裟を身に着けた猿田彦調の大権現を作ってみよう。 夢を見た。明治時代、湖畔のほとりに停められた馬車の中で男が殺されている場面を制作しようとしていた。目が覚めながら〝何だ夢か、色々考えたのに“しかしこれを書きながらほとんど忘れている。江戸川乱歩は〝夜の夢こそまこと“といったが、夜の夢は忘れるが、昼の夢は作ることになるから厄介である。