図書館で、ここ数日書いていた禅師の肖像画の詳細な図版を見て、おそらく宗時代の中国で描かれたであろう肖像画の、驚くばかりの迫真性に、間違いなくこれが実像を伝えているという確信を得た。個性的なご面相で、根拠がなく描いた物には見えない。禅師が来日前の中国(宗)で描かせて持って来たという説は正しいのではないだろうか。これに比べると、CT画像で厚塗り補修の痕跡に、後紆余曲折が感じられ、様式化の匂いもする木像は、禅師の亡くなった前後の作と言われているようである。 写真作品としての背景は、禅師が七百年以上前に自ら植え、現在とてつもないことになっている巨樹を考えている。私が作るのはモチーフこそ古いが現代の作品である。私の手段が写真だ、というところも生かせるだろう。