小四で読んだ『一休禅師』を手掛けたが、ウルトラマンが始まったのが、やはりその頃だったろう、学芸会用に作演出で八岐大蛇を首一本だけだが作ったのもその頃で『龍虎図』や『昇龍図』を作るのはあまりに子供じみるようで抵抗があり、ついでに私に対する当時の母の苦労まで思い出す始末であった。しかし今はラインナップをより強固にしたい訳で、龍を作る事になる気がしている。何も参考にせずに作れるし。 三島由紀夫のオマージュを制作していて、それは三島の作品や、言及した死に方で三島に死んでもらった訳で、特に『仮面の告白』はモチーフの宝庫である。幼い三島は、王子がドラゴンに噛み砕かれ死ぬ絵本が好きだった。気に食わないのはその度王子が生き返るところで、そこは手で隠して読んだ。すでに後の運命を示唆した私が作らなければならないシーンである。ドラゴンを左手にカメラを右手で屋上で空を背景にのけぞるようにして撮った。マンションの住人には見られてはならない状態だったが〝だって三島がそう書いているんだから”と、こんな作品を作らせてくれる三島には感謝しっぱなしであった。王子の格好は三島の供述通りなのはいうまでもない。