河本では客が女将さんをいたわっているつもりで、女将さんに10歳児にさせられてしまう。もちろんアルコールも作用しているわけだが。 お酉様に出掛ける時、古い熊手からお目出度い飾りを外し、それが店内に増えていく。気がつくと妙なところに海老がいたりして。昨年の熊手は真ん中の列に小判をくわえた獅子。その下に金の俵。そして下から俵に向かって龜がいる。長寿の象徴である苔の尻尾を生やしている。それが緑色だったら良かったかもしれないが、紫色である。これが女将さん気持ちが悪いという。尻尾は外されることになった。それは先っちょを束ねて結わいてあるので、断髪されたチョンマゲのようである。 帰宅後、データを選んで現像、チェックするが、撮影者である私は当然写ってはいないが、輪の中に溶け込んでいるわけである。しかしすっかり酔いが醒めた私の目の前のモニターには、紫のチョンマゲを頭に乗せた70代。それを見て爆笑している50あたりから85歳まで。ほんとに私もこの中にいたのか? チョンマゲといえば元横綱北の湖が亡くなった。私がもっとも相撲に熱中していた頃の横綱である。両国中学出身だったと思うが、高校の同級生に、後輩がいて、学内でも番付が優先されるらしく、同じ相撲取りの先輩をパシリに使っていたらしい。ご主人が元力士のラーメン屋が近所に越してくるのだが、北の湖は力士関係者に信頼されており、大変人気があると聞いたことがある。