何かあるとしたらそろそろだろう、と河本の全データを別のPCにコピーして整理した。これで安心。こういう場合、部屋の掃除中に本を読み出してはいけないように、余計なデータを触ってはならない。 一台の乗用車の画像が出てきた。三島由紀夫へのオマージュ展『男の死』で使おうと用意していた白いコロナである。三島たちは市ヶ谷に向かう車中、高倉健の唐獅子牡丹を元気に歌ったという。私がイメージしていたのは手前に背中で泣いてる唐獅子牡丹を露出している三島由紀夫。背景に番傘で顔は見えないがその他のメンバー。さらに後方に駐車しているコロナ。というものであった。結局、唐獅子牡丹の刺青をどうすれば良いか、悩んでいるうち時間的に無理と断念した。ついそのコロナを触ってしまった。コロナ以外何もできていないが、これを完成して実物大にプリントとしたらさぞかし。と良からぬことを夢想した。 2代目のパソコンの画像データもでてきた。すでに出版社が無くなってしまったが『乱歩 夜の夢こそまこと』(パロル舎)制作時の物である。この時もどの作品を手掛けるか模索しながら制作していた。そのフォルダの中は、慌てて夜逃げした後、もしくは手入れを察知したどこぞの事務所の如しであった。