田村写真にて石塚式『オイルプリント』のワークショップが開かれた。家元?としてアドバイスをと参加した。 私自身、02年に京都造形芸術大学のワークショップ、翌年だったか西武百貨店の美術講座でおこなった。いずれも1日目がゼラチン紙制作。これが冷たいばかりで面白くも可笑しくもない。西武百貨店の場合、制作したゼラチン紙の保管ができないので、次回までに自宅で自製してくる宿題としたが、おかげで3人が脱落。ゼラチンを塗布する用紙によって風合は変わる。田村写真のワークショップに参加するような人は、いずれゼラチン紙を自製するであろうが、取りあえず田村写真製作のゼラチン紙を使えるのは何よりである。最初から画面にへばりついたブラシの毛を取りながらという、写真制作とはいい難い作業が味わえる。“石塚式”は諧調が出しやすく、すくなくとも画を出すだけなら小学生でも出る。 私は91年に実験を開始した。ゼラチン紙に重クロム酸アンモニウムを塗布し、露光すると“鳶色” になる。この文字情報だけで焼き付けの度合いを想像するしかなかった。また当然、肝心のブラシで叩くインキングの動画などない。しかし自分がやれるようになると、当時のテキストは、秘密を隠しているわけではなく、文章では表現のしようが無かったことが判るのである。私はそれを踏まえ、2000年にHPを立ち上げ、文字情報と粗雑なモノトーン印刷から制作していた立場から、不足分をできるだけ補ったつもりであったが、先日アップされた私のインキングの動画の説得力は別物であった。 西武百貨店の講座には、田村さんも自製の紫外線露光機を携え参加してくれた。現在社員のHさんも参加していて、それが田村写真入社のきっかけになった。そして本日、若い社員の2人がワークショップに参加の年配の方々にアドバイスしている様子を聴いていて、感慨深いものがあった。 初個展『ブルースする人形展』が82年。私もずいぶん長く制作してきた。独学ゆえ進歩も遅々として進まずではあったが、かってに風に流され私なりの場所に立っている気がする。“石塚式オイルプリント”はその典型であろう。そろそろ人形制作や、人形の撮影方法、合成法など、人に伝えられることがあるのではないか、と考えている。しかし人形の撮影方法はともかく、人形制作は私の場合、作るのはほぼ100パーセント男性である。そんな偏った人間に教わろうという人がいるものだろうか。

オイルプリント制作法

インキング映像↓

http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

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