エドガー・ポーの2作目は『大鴉』を予定している。愛する女性を失い、忘れようとしている男。そこへ窓を叩く音。一匹の鴉であった。最初にイメージした構図通りだと、寄りの画になるので、ポーは写る部分しか作らずに行けるだろう。ここであるアイデイアが浮かぶ。自分のイメージの為には、どんな手でも使う私である。 何度か書いていることであるが、江戸川乱歩同様、生まれつき“夜の夢こそまこと”体質の私は、まことを写す、という意味の写真という言葉に抵抗がある。というより蛇蝎の如くに嫌っているといって良い。そこで画面の中にまことなど入れてなるものか、とファイトを燃やすのであるが、万が一ということもある。そこで最終手段となるのが、油性顔料をブラシで叩き付け、絵画的調子をもたらす、アナログもいいとこの写真の古典印画法、オイルプリントである。そもそも人形というウソに、デジタルというウソを重ね、さらにまだ足らず、最後に駄目押しのもう一ウソ。結果1回転でんぐりかえって私なりのまことが現れてしまったら、それはもう微笑むしかない。

※世田谷文学館にて展示中

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