以前、高所にいる夢を見てあわてて目が覚めることが頻繁にあった。たいてい海の上の橋か、陸なら高圧線の鉄塔のようなところに上がっていた。たいてい寝入りばなで、危なかった。と思いながらホッとしてすぐ寝るのだが。 今日の夢は違った。 周囲百五十メートルほどの広場にいる。赤茶けた土にところどころ雑草が生えている。外国の子供達が女の先生とお遊戯をしている。雲一つない良い天気だ。背伸びをしたとたん、そこがとてつもなく異常に高いビルの屋上だ、ということに気付いた。あわてて下に降りようとするが降り口が見当たらない。近くに作業着姿の男が立っている。見覚えがないが私の知り合いらしい。「高さが足りないからアンテナを立てたよ」。と指差す。すると横に太い円柱。高さは数百メートルはあり、長過ぎて数十メートルはしなっている。見ると男が一人途中にぶら下がっている。なんてことだ。あんな高い所でゆらゆら揺れている。何か作業をしているのであろうか。私は恐ろしくなり彼に向かって叫んだ。「そんなことはーーーー寝かせてやれェーーーーッ」。恐怖で目が覚めると、あきらかに心臓がドキドキしているのが判った。高所は好まないが、はしごが登れないわけではなく、高所で下を覗きこんで不愉快な程度である。 それにしても、垂直の山にへばり付いているような登山家は、なぜ変態よばわりされないのか、昔から不思議でしょうがない。なんだか不公平ではないか。私が変態呼ばわりされているわけではないが。