画像を合成する場合、後で何があるか判らないので、画像を統合せずに、ある程度経った時点で統合して1カットにすべきであろう。しかし私の場合、これで大丈夫。と思った時点で、未練がましく保存しているのが嫌で、良いと思った時点で、未練を断ち切るように統合してしまう。部屋の中と違って作品に関しては整理好きである。 しかし今回のように長丁場で制作していると、開始当初と考え方、技術、見え方が変わってくる。読み違えに後で気付くことも出てくる。 本日は人間の登場人物が全員集合する初登場のシーンである。長い砂浜を旅館の番頭に先導され、芸人三人組とタクシーの運転手。これは随分前に完成し、良いでしょう、とばかりに、自慢気に出演者の皆さんの携帯に送ったりしたものであったが、数ヶ月前に、この連中が、海辺の岩があるところを歩いていることに気がついた。しかしまあ良いだろう、とやり過ごしていたのだが、鏡花はコツコツなどと、足音まで書いている。本日諦めてもう一度。 自分が切り貼りして統合した作品を、自ら切り抜くほど情けない作業はない。前回はどこまでも続くような砂浜であったが、今回は岩だらけのところを抜けて、砂浜に出たあたりの風景を選んだ。これなら良いだろう。 画面手前に、足跡がある。おそらく私の足跡であろう。消す前にそれを利用し、砂に履物がめり込んだようにした。これでいう事なし。もう後悔などするわけがない。懲りずにとっとと1枚に統合してしまう私であった。