今月ようやく編集者と三回目の打ち合わせの予定である。ただ出版の話をした1回を含めてもたったの4回目である。 ここへ来て未だに見落としを見つけて修正している。本日の修正点。フンドシ姿の漁師二人。河童と遭遇して担いでいた獲物を放りだして逃げる。巽の方角に海があり、そちらからやってきて、そちらに逃げることになっているのだが、となると向きが違う。左右を反転した。幸いひきの画なので反転しても漁師二人に違和感はない。このカットは面白い画になったが、一人は大学でラグビー選手だったのに、申し訳ないくらい一目で判る鈍足に変えた。この時点で制作したカットは70カットを超えている。これにはただシャッターを切って色調整しただけのようなカットは含まれていない。 昨日も話になったが、完成した暁には、参加者で集おうということになっている。マンションの駐車場でフンドシ姿で演技したり、おかしな踊りするはめになった出演者だけが、いかに事実と違うかを知っている。作者としては、たまたまロケをしたらこんな都合の良い場所がありました。という顔をしなければならず、本当のことは公開できない。協力したはいいが、いったいいつになったら完成するのだ、と内心思っているであろう出演者限定で披露するつもりでいる。 嵐山光三郎さんが、鏡花は現場を克明に取材しているとおっしゃっていたが、モデルにした房総の神社に行き、あまりにも書かれたとおりで感動した。ここを撮影しなければ、さらに風景作りに苦労したであろうと思うとゾッとする。それもこれも事前にネットで検索して、神社が作中の神社と酷似していることに気付いたおかげである。私はてっきり鏡花が書斎でイメージだけで書いた作家だと思い込んでいたのであった。