今回女性連は、昼夜で着物を換えるという贅沢をしている。すべて笛吹きの芸人役のMさんの奥さんのご尽力の結果であるが、主にMさんのお母さんから譲り受けたものだそうで、作品として残ることをかえって喜んでいただいている。そういえば、祖父の代からという父親の遺品のステッキを借りた人にも同じことをいわれた。 今回着物に関して勉強になったが、コーディネイトされたものを見れば私でも良さは判るが、バラバラであればチンプンカンプンである。日本女性は着物を着ると歩き方からしぐさから、自動的にしとやかになると良く耳にするが、あれは真っ赤な嘘であった。こんなところも、奥さんが付きっきりで目を光らせてくれていたので助かった。 編集者が人間が強い、というのはまさにその通りである。話のほとんどが梅雨の夕刻で、どんよりとした空模様であるが、晴天の撮影ができなかったので、鬱憤をはらすために、作業はそちらから始めているし、異界の連中と分けるため、コントラストの高い今時のレンズを使っている。そこへもってきて素人劇団の湿度0パーセントの演技が加わっているので、そうとう強く見える。今後この強さに対抗してバランスを取るためには、異界の連中には相当ドンヨリ、ジメジメしてもらわなければならないであろう。こんなことを考えなければならなくなるとは思いもしなかった。

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