梅雨明け寸前に雨降りや曇天を期待しながらの房総の6日間は常に晴天で、東京に帰った翌日雨。本日午後一で房総で撮影した晴天の背景に合成する人物を撮影するため、Mさん邸に向うが、みるみる曇り始めた。それでも陽はさすので、雲の切れ間を期待しながら出演の皆さんの着付けを待つ。しかし昼食をいただく頃には、すっかり雲で覆われてしまった。結局今日は室内撮影のみとなった。しかし悪いことばかりではない。  Mさん邸の窓際で最初のカットを撮影し、次にマンション内に予約していただいていた和室での撮影。これは人間にステッキで腕を折られた河童が、鎮守の森の姫神様にお願いして、人間共のいる旅館に、巨大な魚イシナギの死体を放りこんで貰おうとする。このシーンはその通りにできれば面白いシーンである。実際は異界の世界も人手不足だと断わられ河童の思惑通りに実現しない。であるからこそ、このシーンは特に作り事めいた異質な雰囲気にしたい。つまり唯一といえるほど演技力が必用な場面である。 怪獣映画の撮影のように、巨大な魚が、この辺りに投げ込まれる、と想定した場所を意識してビックリしてもらったのだが、先発の奥さん役のK子さんが最初から飛ばし、見事な驚き様で数カットで終ってしまった。そしてそれを見ていた主人役のMさんが負けじと腰を抜かさんばかりの驚き様で、こちらも数カットで終了。難関と思われた撮影が笑いとともに呆気なく終った。調子も上がり、その他の撮影も順調に進み、予定より大分早く終了。  ここまでの進行を省みるに、難所と思われる所を軽々と乗り越え、代わりに心配もしていなかったところに伏兵が待っている。どうもそんなことが続いている。

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