今のところに越して来て5年と思い込んでいたが、フェイスブックに流れて来た思い出によると、引っ越しに備えて片付けていたのは7年前だった。本日はその間、見もしなかったポジフィルムの中から今後背景にも使いようのない物を捨てた。当時、ポジフィルムはプロ用で、ネガはアマチュア用だと思い込んでいた。こんなド素人が、野島康三の顔料を使うピグメント技法に一目惚れし、周囲が止めるのもきかず、古書街に通い詰め人形制作を放って廃れて久しいオイルプリントを独習し2000年に『ピクトリアリズム展』を開く。2002年には前年にバレエを一度観ただけで、その技法でニジンスキーをモチーフに個展を開いた。 私としては「あの頃は若かった。無茶をしたものだ。」と今頃遠くをみる目をしているはずだったが、今年坐禅をしたこともないのに七百数十年前に本格的な禅を伝えるために日本を訪れ建長寺の開山となった蘭渓道隆を作り、当の建長寺で展示をした。人間の性根というものはそう変わるものではないようである。
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