
ジャングル・ブック
こんにちは!
今回は1967年アメリカ公開の「ジャングル・ブック」(原題: The Jungle Book)の感想回です!
今作「ジャングル・ブック」はディズニー長編アニメーション作品の第19作品目
原作は19世紀末から20世紀初頭のイギリスで最も人気のある小説家の1人、ラドヤード・キップリングの同名小説「ジャングル・ブック」
当時テレビ番組とテーマパーク運営に注力していたウォルト・ディズニーが、久々に制作の中心として関わった作品であり、生前直接制作に関わった最後の映画でもあります。
ウォルト・ディズニーの遺作であるディズニーアニメーション史においても重要な作品「ジャングル・ブック」の感想を語っていきます!
出演者
バルー:郷里大輔
バギーラ:今西正男
モーグリ:中崎達也
キング・ルーイ:石原慎一
シア・カーン:加藤精三
カー:八代駿
ほか
【当ブログは基本ネタバレありです】
あらすじ
舞台はインドのとあるジャングル…
モーグリは赤ん坊の頃に黒豹のバギーラに拾われ、狼の家族に育てられた人間の少年。
ある日人間を恨んでいるトラのシア・カーンが現れたことでモーグリは人間の村へ返されることになり、バギーラと共に家族の元から旅立つことになった。
旅の途中でさまざまなものたちに出会い、モーグリはジャングルの楽しさや恐ろしさを学んでいくのだった…
感想
これまでも数々の動物が主役となる映画をディズニーは作ってきましたが、今作も例に漏れずそのディズニーアニメーションの素晴らしさが存分に活かされた作品でした。
「バンビ」などで徹底的に動物の研究をしてきたディズニーだけあって、ポップな作風ですが動物の動きはかなりリアルなアニメーションになってます。
前作「王様の剣」に続き、今作も全体的に明るい作品になっており、メインだけではなく、サブキャラクターも非常に魅力的なキャラクターが揃っています。
背景美術に関しても、「101匹わんちゃん」以降はゼログラフィ技術の導入によって線の細いラフな作画が中心でしたが、
今作はあくまでキャラクターの描写はこれまでの流れを踏襲しつつも、背景はタッチの濃いしっかりとした絵が描かれています。
バルー & バギーラ
バルーはのんびり屋で楽観的な熊。
挿入歌「The Bare necessities」ではなるようになるという、自然体で自由にジャングルを生きる楽しさをモーグリに教えています。
普段はお気楽な性格ですが、モーグリが危険に遭わないようにいつも近くで見守る存在。
対照的に黒豹のバギーラは、ジャングルのルールを熟知し、ジャングルの厳しさをモーグリに教え、最終的には人間の村に返そうとしています。
モーグリがジャングルで生き抜くことができるか心配しつつも、直接手助けするのではなく遠くから見守るような存在。
この2匹の性格の違いというのもこの作品の一つの魅力であると思います。
バルーとバギーラの考えは対照的ですが、モーグリへの愛情はどちらも深く、一度モーグリが危険に陥れば命懸けで守る姿というのははまさに父親のような姿であり、モーグリへの愛情はとても深いように感じました。
全体的には軽い作風の本作ですが、核となるキャラクターがしっかりとインパクトを残すことで現在まで愛される名作になったのだと思います。
魅力的な楽曲
前作に引き続き楽曲はシャーマン兄弟
人間のようになりたいと願うオランウータンの王キング・ルーイが歌う「I wanna be like you」は今作を代表する楽曲ですが、
この曲はウォルト・ディズニーからのとある注文を求められた末に誕生した曲でした。
この曲が流れるシーンはモーグリが猿に連れ去られてしまうという今作で一番ゾッとする場面。
その注文とは
「一番恐ろしい場面を音楽で楽しく表現しろ」
彼らはこのウォルトからの注文を、
猿たちが木で揺れている(スウィングしてる)ことに気づいたことで乗り越えました。
猿の王をスウィング(ジャズ)の王に仕立てたのです。
この機知に富んだ発想で注文をしたウォルト・ディズニーだけでなく、作品を見た観客までをも魅了した名曲となったんです。
また、作品終盤に人間の女の子シャンティが歌う「My Own Home」はメリー・ポピンズの「Feed The Birds」や「Stay Awake」を彷彿とさせる、シャーマン兄弟らしい美しいバラード。
ディズニー+で配信中の特典映像「制作当時の思い出」では、リチャード・シャーマンが実際にピアノ演奏をしているので必見です。
もう一つのエンディング
今作のエンディングは、人間の女の子シャンティに一目惚れしたモーグリがバルーとバギーラに別れの挨拶もなくついて行ってしまうというあっさりとしたもの…
実はもう一つのエンディングとして、モーグリがシア・カーンを倒して村からも、そしてジャングルからも英雄として讃えられるという話があります。
とてもディズニー映画らしいハッピーエンドなエンディングだと思います。
今作はキャラクターの魅力はこれまでのディズニー映画の中でもピカイチですが、ストーリーは非常にあっさりとしたもので最後も締まらないようにも感じます。
もう一つのエンディングとして用意されていたものを使用していればそんな感覚もなかったかもしれません。
なぜこの案を採用しなかったのか、ウォルトたち製作陣は当時どのように考えていたのかがとても気になります。
まとめ
メインからサブキャラクターまで魅力的なキャラクターの登場で今もなお人気な作品。
人気作ではありますが、ストーリーの面で考えると他の名作には及ばない部分があると思いました。
ただ、ウォルトが生前最後に関わった作品なだけあってキャラクターや音楽などさまざまな部分までこだわり尽くされた作品でもあります。
ファミリーエンターテイメントを追求し続けたウォルト・ディズニーが最後に作り上げた作品として、これからもディズニーファンの記憶に残り続ける作品になるのだと思います。