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おしゃれキャット


こんにちは!


今回は1970年アメリカ公開の「おしゃれキャット」(原題:The Aristocats)の感想回です!





今作「おしゃれキャット」はディズニー長編アニメーション作品の第20作品目


また、今作は原作のないオリジナルストーリーであり、ディズニーアニメーション初のを主役とした作品。


1966年にウォルト・ディズニーが亡くなり、彼が不在の中で大部分が作り上げられた初めての作品でもあります。


今作の原題(The Aristocats)は “Aristocrat” という「貴族階級の人々」を指す英単語をもじったもの。


映画冒頭では三猫の1匹トゥルーズが “Aristocrat” の “a” 抜き去る様子が描かれています。


そんなユーモアにも溢れる作品「おしゃれキャット」の感想を語っていきます!


出演者

ダッチェス:新道乃里子

トーマス・オマリー:大宮悌二

マリー:内藤愛美

ベルリオーズ:曽根洋介

トゥルーズ:稲葉祐貴

エドガー:川久保潔

ボンファミーユ夫人:中村紀子子

ロクフォール:肝付兼太

ほか


【当ブログは基本ネタバレありです】



あらすじ





舞台はフランスのパリ…


大金持ちの老婦人ボンファミーユ夫人の家でダッチェスという美しい猫と三匹の仔猫が暮らしていた。


ある日、婦人は莫大な財産を遺そうと弁護士を呼んで遺言状を作成する。


この遺言状をきっかけにダッチェスとその子供たちは事件に巻き込まれていくことに…


事件に巻き込まれた猫の家族は、野良猫のトーマス・オマリーと出会い、自分たちが知らない世界を知っていくのであった。




感想




今作も「101匹わんちゃん」から続く、トレスマシンを導入したことによる原画風のアニメーションが色濃く出てる作品。


今作は他の作品と比べると線画のラフさがより強いように感じました。


特に映画冒頭の三匹の仔猫がアルペジオを練習するシーンではその描き込みの量が凄まじいことに笑


音楽に関して、三作連続で参加することになるシャーマン兄弟はオープニング曲である「The Aristocat」など三曲担当しましたが、


このオープニングテーマを、既に引退していたモーリス・シュヴァリエが一時的に復活し歌ったことが当時は話題になったそうです。 


作画と音楽だけを見ても今作がいかに気合の入った作品かを伺うことができると思います。


キャラ人気に隠れてしまった作品


おしゃれキャット」という作品でしばしば話題にされるのが作品の知名度よりもキャラクターの知名度が一人歩きしてしまっている問題。


3匹の仔猫の1匹、マリーは真っ白な毛並みと大きなピンクのリボンが特徴の女の子。


このマリーは過去に有名人の推しキャラとして紹介されたことで、女子高生など若い世代から絶大な人気を集めており、その人気は主役のダッチェスを凌ぐほど。


このマリーちゃん人気は後に彼女のためにイメージソングが作られるほど!!





ではなぜここまでキャラ人気が一人歩きしてしまったのかを考えると、やはりそれはストーリーに問題がある気がしました。


改めて見返すとストーリーがゴチャゴチャしてるように私は感じました。


トーマスを川から助け出すガチョウの姉妹だったり、今作のヴィランであるエドガーとおバカバトルを繰り広げる2匹のわんこだったり、


ワンシーンワンシーンはすごく面白くてクスッと笑えるところが多いんですけど、全体で見ると脈絡がないように感じてしまいました。


あとはキャラクターなんですが、すごく際立ってこのキャラが良い!と思えるキャラクターが私は見つかりませんでした。


どのキャラクターもデザインがすごく良いので、どのキャラも好きではあるんですが、インパクトが残るキャラクターがいなかったような…


そもそもマリー自体もとりわけ活躍するわけでもなく、子供らしい少々生意気なませた女の子ですし


これらの理由でディズニーでは珍しく、作品を知らずにキャラクターの見た目だけでグッズが消費される現象が起きるのかなと


ただキャラから入ること自体は悪いことでもないですし、そもそもマリーがいなかったら「おしゃれキャット」という作品を知らずに過ごす人も多くいるでしょうから。


 ジャズの存在




そんなこんなでやはりこの作品の一番の見どころといえば、野良のジャズ猫たちによって歌われた


Ev'rybody Wants to Be a Cat」のシーンでしょう。


この曲の素晴らしいところは、作品内の一つの楽曲であるということだけではなく、作品そのものに深みを与えてくれる楽曲であったということです。


貴族のような世界で過ごしてきたダッチェスたちにとって、ジャズという音楽は全く違った世界だったのだと思います。


最初はアルペジオを練習していたのに、物語終盤でジャズを演奏していたのは、おしゃれキャットたちが外の世界を知ったことによるもの。


この最初と最後の180度違った展開がすごく面白いですよね!





また、この楽曲を演奏しているジャズ猫たちに注目してみると、アジアンな猫がいたり、ロシアンな猫がいたりと多様な国の人々を反映したようなキャラクターが登場していました。


ジャズの特徴は「多様性」にあるとも言われていて、そういったものがキャラクター構成にも現れているように感じられて良かったです。


欧州をルーツとするクラシックへの対抗、そして自由な音楽性を求める音楽であったジャズは、自由な暮らしを送る野良猫の音楽にまさにピッタリと言える音楽ジャンルだったんですね。


こういったジャズの特性を理解し、さりげなく作品のテーマに反映しているところがディズニーらしくて素晴らしいと思いました。



まとめ




作品そのものよりもキャラの人気がかなり前に出てきてしまっている作品ですが、


中身を見ると屋敷で暮らす猫と野良猫を音楽を使って対比させているなど、非常に細部までこだわり抜かれた作品であることがわかります。


非常に丁寧な作りになってるが故にキャラクターのインパクトが欠けていたり、脈絡のないストーリーが少々目立つようにも感じました。


ただ、キャラクターのデザインはホントに素晴らしいので、作品外での人気が爆発したというかなり珍しい道を辿っている作品になったのも納得です。


マリーちゃんしか知らないよ〜という方は是非一度見て「おしゃれキャット」がどんなお話なのかを知って欲しいです。





最後まで読んで頂きありがとうございます!

次回の更新もお楽しみに〜♪