「地震イツモノート」

地震イツモプロジェクト:編

渥美公秀:監修

寄藤文平:絵

ポプラ文庫

 

 

地震の備えは特別なことではなく、いつもの日常の中で当たり前に備えておくこと。

それが地震大国で生きていくために必要なこと。

 

 

 

 

 

 

★★★〈自分が読んだ動機〉★★★

新聞の新刊案内の広告に載っていて、本の内容とユーモラスなイラストに惹かれて購入した本です。

 

 

★★★〈こんな人におすすめ〉★★★

・防災に興味がある人。

・地震対策に興味がある人。

 

 

★★★〈本の概要〉★★★

阪神・淡路大震災の体験者167名から聞き取った話を、イラストエッセイの形式でまとめられています。

内容は、震災当時の出来事や、被災生活を乗り切った工夫、持っていて良かったもの、震災から得た教訓、普段から実践している地震対策、防災を日常生活に根差すためにはどうすればよいか、など多岐にわたります。

 

本書の構成は以下のとおり。

 

1章:地震が起きた瞬間

2章:地震とその直後

3章:救援活動

4章:避難生活

5章:地震が教えてくれる未来

 

棒人間に線を引いて目鼻口と服を書き足したような、シンプルでゆる~い、どこかユーモラスで分かりやすいイラストを添えたイラストエッセイなので、とても読みやすいです。

気軽にサクッと読めて、防災知識と心構えが身につきます。

 

 

★★★〈震災体験者のリアルな声〉★★★

収録されているのは阪神・淡路大震災の体験者から聞き取った話です。私は大地震に遭ったことはありませんが、将来必ず大地震が起きると予想されている地域に住んでいるので、ハザードマップを見たり「防災ガイドブック」のような本やネット情報を読み漁っていますが、やはり体験された方の話はリアリティがあります。

特に避難所での生活の実態については初めて知ることが多くありました。

 

 

★★★〈最も伝えたいこと〉★★★

本書が最も伝えたいことは、地震への備えが「当たり前の日常」となること。

以下の文章に表されています。

 

地震が起きる可能性。

それは「もしも」ではなく「いつも」あるのです。(10ページ)

 

当たり前のことだから、地震に対して構えていない。腹が据わっている。呼吸が整っている。特別に用意しておくべきものはきちんと用意し、特別じゃないモノ、当たり前のモノをどんな時にでもうまいこと活用できる知識を準備している。イツモ地震のある国に住む。イツモだから、特別じゃないから、平常心。(13ページ)

 

 

★★★〈手軽にできる地震対策もたくさん。私が実践したこと〉★★★

事前に準備できるものや地震対策のアイデアも多く載っています。地震に備えて用意しておく物や、家具の転倒防止など家の中の備えなど、すぐに取り組めるものも多くあるので、私も真似して実践しています。その一例を挙げると

 

「家具の転倒防止のため、折りたたんだ新聞紙を家具の下に敷いておく。」

「背の高い家具の転倒防止に、突っ張り棒をしたり、天井まで空き箱などを詰めておく」

「キャスター付やローチェストは倒れない」

・・・家具を新しく買う時は「とにかく倒れにくいもの」を基準に選び、倒れる可能性のある家具には市販の転倒防止グッズを装着しました。

 

「現場ではホコリが舞うため、レインコートやマスクが必須」

・・・大地震を体験していない私は、ホコリ問題まで考えが及びませんでした。

 

「家中に懐中電灯を置いている」

「笛とライトは携帯につけている」

・・・我が家のあちこちに懐中電灯と、停電すると自動的に点灯する足元灯を設置しました。またどこへ行く時も、ミニサイズの懐中電灯と笛を鞄に入れています。職場など建物の中で停電して真っ暗になったら避難もできないので。

 

「缶切りのいらない缶詰が便利」

・・・自宅に缶切り不要の缶詰を備蓄していますが、念のため缶切りも防災グッズに仲間入りさせました。もしかすると支援物資などで缶切りの必要なものを入手するかもしれないので。

 

「様々な防災グッズをそろえても、地震でどこかに吹き飛んでしまって行方不明。」

「普段から、防災グッズは取り出しやすい場所をきめて置いておく。」

・・・部屋を片付けて、どこに何を置くか、きちんと場所を決めておこうと思いました。

 

「友達付き合い・近所づきあいを大切にすることで、いざという時にお互いに異変に気付き助け合うことが出来る。」

・・・所帯を持った今、身に沁みます。実家にいる時には近所づきあいをしているのはほぼ親と祖父母だけだったので。

 

など、手軽に始められるものから徐々に取り組んでいます。

 

 

★★★〈学んだこと①防災は「当たり前の日常」であること〉★★★

本書を読んで、防災とは特別なことではなく、普段から「当たり前」としていることが大事なんだと思いました。そして対策の一つ一つは小さなことなので、少しずつでも生活に取り入れていこうと思いました。

 

 

★★★〈学んだこと②自分の実は自分で守ると覚悟すること〉★★★

災害時には消防などによる救助、避難所の開設、食料や生活物資の配給など、被災者への支援はあるものの、震災直後は現場も混乱し、すぐに助けの手は届きません。震災の規模が大きいほど、支援が届くのも遅くなるでしょうし、支援だけで生活の全てを再建することもできません。

だから「自分の身は自分で守る」覚悟をして事前に備えておくことが必要だと思いました。

自分のことがままならない状態では、他者を助けることもできませんから。

 

 

★★★〈地震以外の災害時にも役立つこともあります〉★★★

本書は地震に特化した内容ですが、備蓄や避難生活など、津波・台風・豪雨・火山などの災害時にも役立つアイデアも多いです。また考えたくはありませんが、外国との有事で日常生活に支障が出た場合にも役立つことがあるのでは、と思います。

 

 

★★★〈地震について学ぶ、最初の一冊に最適〉★★★

「地震への備えに興味を持ったらまずこの本を読んでください。」とおすすめできる本です。防災について学ぶ入り口になる最初の一冊に最適だと思います。

もちろん、すでに防災について様々な本を読んでいる人への新たな一冊としてもおすすめです。

 

★★★〈終わりに〉★★★

イラストエッセイなので、ふと時間が空いた時や気が向いた時に気軽に読めて、「普段から備えておこう」と気持ちを引き締めてくれる本です。

本書を読んで、他のところからも防災知識を取り入れて、さらに自分に必要なものを考えて「自分だけの防災マニュアル」を作っていこうと思いました。