出来事に対してではなく、患者さんの気持ちに反応する
患者さんが来院した場合、こういった光景がしばしば見られます。
歯科医院側
「 本日はどうなさいましたか? 」
患者さん
「 虫歯が出来て痛くて痛くて治して欲しいんです。 」
歯科医院側
「 虫歯で痛いのですね。どのように痛いのですか? 」
患者さん
「 食べ物を食べる時にズキンと激痛が走る感じで辛くて辛くて。 」
歯科医院側
「 食べた時にズキンという痛みがあるんですね。わかりました。ではお口の中を診ますね。 」
歯科医院側
「 この歯で間違いないですか?(軽く触る) 」
患者さん
「 そうです、その歯です。もう食べる度に痛くて大変でした。 」
歯科医院側
「 これは神経まで虫歯が進んでいるかもしれないですね。まずはレントゲンを撮りましょう。 」
歯科医院にとってはよくある光景です。
患者さんの主訴をしっかり聴き、虫歯である歯もしっかり確認しています。
何かおかしい所がある?
と思うかもしれませんが、患者さんの立場で考えると、本当にわかってくれたのかな~と思われてしまうかもしれません。
なぜでしょう?
理由はこの会話を見てわかる通り、歯科医院側は患者さんの出来事に対してしか反応していないのです。
人間は誰かに何か話すときに、感情を持って話をします。
その感情をわかってもらいたくて、相手に話します。
患者さんは虫歯になって辛いから、歯科医院に行って話をしているのです。
例えば、
「 昨日コンサートに行ったんだけど、すごく混んでいたけど、とても面白かったよ!! 」
と友人が言ったとしてあなたはなんと答えますか?
「 あのコンサートやっぱり混んでいたんだね。どの辺の席取れたの? 」
と答えたとします。
一見、会話として成り立っているように感じますが、友人が聞いて欲しかったのは果たして席についてでしょうか?
当たり前の事ですが、友人はコンサートが面白かった!!
という、良かった、うれしかったというプラスの気持ちを、伝えたいからあなたに話したのです。
それなのに混んでいたことに対しての会話がどんどん進んでしまうと、友人はなんだか不完全燃焼な気持ちになってしまいます。
歯科医院での会話も同じだと思うのです。
虫歯になっても何にも思わないで平気なら、そもそも患者さんは歯科医院には行かないのです。
患者さん
「 虫歯が出来て痛くて痛くて治して欲しいんです。 」
歯科医院側
「 かなり痛かったんですね。大変でしたね。どのような感じで痛みましたか? 」
患者さん
「 食べ物を食べる時にズキンと激痛が走る感じで辛くて辛くて。 」
歯科医院側
「 食べる時に激痛があるのはとても辛いですよね。ちゃんと食べられなかったら体力も落ちてしまいますしね。 」
患者さん
「 そうです、その歯です。もう食べる度に痛くて大変でした。 」
歯科医院側
「 これは食べ物で刺激されるとだいぶ痛みそうですね。これは辛かったですね。 」
このように出来事に対してではなく、気持ちに対して反応(同調)すると、相手が自分の事を非常によく理解してくれているという気持ちになります。
私が患者さんの立場だったら、ここの歯科医院に来て良かったな~と思います。きっと。
私自身もかつてそうでしたが、特に歯科の患者さんは、恐怖心と緊張感で張り裂けそうな気持ちで来院される方がたくさんいらっしゃいます。
自分の気持ちをわかる、わかる辛かったね~と言ってもらえたら、それだけで救われた気になると思うのです。
最近の歯科医院では、患者さんの対応に非常に気をつけている所も多くありますが、今一度自分の会話の仕方を振り返ってみてはいかがでしょうか?