フィリピンで一番高い樹木はミンダナオ島北東部のAgusan del Sur州San Francisco市の国道沿いにある通称Giant Toog Treeだと言われています。
樹高は56.0m、幹の胸高直径は3.7m、樹齢は約300年です。
Giant Toog Tree(Minda News)
Giant Toog Tree(Monumental Trees)
Toog (Philippine Rosewood)はMindanao、Visayas地方の熱帯雨林の固有種で、建造物・家具材として乱伐され、さらに開発によって生育地が減少したことが原因で絶滅危惧種(危急)に指定されています。
Giant Toog Treeは寿命に達していると推定され、支柱根には空洞ができて倒れる危険があるため2019年と2020年の二度に亘って伐採の決定がなされました。
しかし、いずれも最終段階でシンボルとして愛着を持つ地元住民や樹木保護団体の要望によって中止され、現在は剪定や空洞の殺菌消毒などを定期的に行なって経過を観察しています。
支柱根の空洞(Minda News)
日本で一番高い樹木は京都市左京区の大悲山国有林にある花脊の三本杉です。
同一の根元から伸びた3本の幹の高さは東幹62.7m(国内1位)、北西幹60.3m(国内2位)、西幹57.2m(国内5位)で、東幹の胸高直径は4.3mあり、樹齢は1,200年と推定されています。
花脊の三本杉(京都市)
花脊の三本杉(京都市)
杉は日本の固有種で、成長が早く多様な用途があるため戦後は国土保全や木材用として計画的に植林されています。
屋久島の世界自然遺産に登録されている一帯には屋久杉の原生林も残っており、樹齢2,000年を超えるものがあります。
花脊の三本杉が人工林の中にありながら伐採を免れたのは、その特異な形状により峰定寺(ぶじょうじ)の御神木として古くから信仰を集めてきたためです。
花脊の三本杉(京都市)
そして、世界で一番高い樹木は米国California州のRedwood National ParkにあるSequoia(Coast Redwood)でHyperionと呼ばれています。
Hyperionの樹高は116.1m、幹の胸高直径は4.9m、樹齢は600−800年です。
また樹冠の深さも世界一で90.9mあります。
Hyperion(Famous Redwoods)
Hyperion(National Geographic)
SequoiaはCalifornia州のNevada山脈西側斜面の固有種で寿命は約3,000年ですが、絶滅危惧種(危機)に指定されています。
8,100平方キロあったSequoia原生林は建造物材として伐採され、現在残っているのは国立公園及び州立公園として保護された560平方キロ(7%)だけです。
1978年にCarter政権がSequoiaの伐採を阻止するためRedwood Ntional Parkの範囲を広げたことで、Hyperionは伐採を免れました。
Sequoiaの伐採(1917年)(HistoryPorn)
Redwood National Park(Max Foster)
Giant Toog Tree、花脊の三本杉、Hyperionはいずれも消滅する原生林の中で運良く伐採を免れたものですが、世界で二番目に高い樹木の状況は全く異なります。
それはマレーシアSabah州の熱帯雨林の中で2019年4月に発見されたYellow Meranti(Shorea Faguetiana)で、樹高は100.8m、幹の直径(支柱根の上)は2.1m、樹齢は約400年、Menaraと命名されました。
Menara(Sabah Forestry Department)
熱帯雨林の面積が35,700平方キロと広大なため、飛行機からレーザー検出・測距装置で高精度の三次元データを取得して分析し、高い樹木の存在が判明すると現地調査により確認しています。
一回の測定範囲は限られるため、樹高の記録は下表のように頻繁に更新されてきました。
Sabah州熱帯雨林における樹高記録の更新状況
Menaraの計測(Forest Ecology and Consevation Group)
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さらに、地上最大の面積(6百万平方キロ)を持つAmazon熱帯雨林でも2022年9月に高い樹木が確認されました。
場所はブラジル北部のParu State Forestで、樹種はDinizia Excelsa(Angelim Vermelho)、樹高は88.5m、胸高直径は3.2m、樹齢は約400年です。
88.5mの樹木(Nature)
88.5mの樹木(Nature)
2016年から2018年にかけてAmazon熱帯雨林の0.01%に相当する範囲を飛行し、搭載したレーザー検出・測距装置により三次元データを取得しました。
取得したデータを分析した結果、高い樹木が存在するサイトが6箇所あり、その内の1箇所に88.5mの樹木があることが判明したのです。
そのサイトは最寄りの町から250kmの距離にあり、20人の専門家はボートと徒歩による二度目のトライで8日間をかけて目的地に到達しました。
レーザー検出・測距装置により作成された三次元イメージ(Nature)
アマゾン川の支流を遡行する調査隊(Nature)
調査隊と88.5mの樹木(Nature)
果たしてHyperionの高さを超える樹木は存在するのか?
その答えを得るには、世界の熱帯雨林の調査がいま少し進展するのを待つ必要がありそうです。
21世紀初頭の熱帯雨林と森林破壊された地域(Brittannica)


















