天才起業家Elon Muskは多くの分野で先端企業を率いており、SpaceX社は今やNASAのプロジェクトを一手に引き受ける世界最大の宇宙開発企業になっています。

 

同社は2020年代中頃までに約12,000基の小型人工衛星を低軌道(約550km)に展開するというStarlink計画を遂行中です。

 

2022年末には3,000基を超える衛星が打ち上げられ、45カ国でブロードバンド・サービスの提供が開始されました。

 

当初はインターネット・サービス、次には携帯電話サービス、最終的には軍事、科学、探検などにも利用することが計画されており、10年に及ぶ計画の総コストは100億ドルに達すると推計されています。

 

衛星60基を搭載したロケット(SpaceX)

 

島嶼国家であり、かつ山岳地帯に居住する人たちも多いフィリピンでは、様々な施策を導入したにも拘らず、インターネットの普及率は67%で頭打ちでした。

 

普及率が低いだけでなく、回線速度が遅くサービス自体が不安定なことが経済活動にも多大な影響を与えています。

 

2022年5月にフィリピン政府は外資規制の特例を設けてStarlink Internet Services Philippines社の登録を承認し、2023年2月にStarlinkのインターネット・サービスが始まりました。

 

各国の固定ブロードバンド速度(Speedtest Global Index)


 

Starlinkのサービス・エリア(2024年1月)(ホーム・ページより)


 

フィリピンのインターネット回線ネットワークは殆どの国際海底ケーブルの揚陸地点があるルソン島を起点として、多くの島々を海底ケーブルで繋いで形成されています。

 

私が住んでいるジェネラル・サントス市はネットワークの南端に位置するため、海底ケーブル障害の頻度が高く、復旧に長時間を要することも珍しくありません。

 

2023年半ばにはStarlinkインターネット・サービスの評判を聞くようになり、同社のホムページから申し込みをしようとしたのですが、要件の一つにPhilSys ID(Philippine Identification System ID)の提示があり、当時は家族の誰も所有しておらず断念しました。


フィリピン近海の海底ケーブル図(Philippines Tele Geography)

 

昨年10月にはSMグループのData Lake社がSpaceXと総代理店契約を結んで、装置一式もSM Mallなどに出店しているSillicon Valley店で買えるようになり、発行が滞っているPhilSys IDの提示も要件から外されました。

 

かくして、2024年1月早々、Mall内にあるSillicon Valley店で装置を購入。

自動追尾アンテナ、ルーター、ケーブルなど一式で価格は28,000ペソでした。

 

月額利用料は次の通りで、Starlinkのホームページからオンラインで支払います。

 

Starlinkの月額利用料

 

 

ケーブルの長さは15mあるので、とりあえずアンテナは庭に、ルーターは居間において最終的な設置場所を検討することにしました。

 

アンテナは設置場所における遮蔽物の存在を教えてくれます。

西側の家屋と東側の庭木による垂直遮蔽角は、それぞれ約45度、30度ですが、東西方向の衛星を利用するときには障害となることが表示されていました。


 

 

15ー20度程度の垂直遮蔽角は許容されるのでしょうが、西側に高い樹木があることも考慮して、アンテナの設置場所は屋根の主棟としました。

 

早速、翌日にLaiの従兄弟のメカニックに頼んでアンテナ設置終了。

 

 

 

Google Fiberで回線速度を計測するとダウンロード173Mbps、アップロード20Mbps(10計測の平均)でした。

 

StarlinkホームページのSpeed Mapによると、フィリピン全土の回線速度はダウンロード150Mbps以上、アップロード25Mbps以上となっています。

 

回線速度は刻々と変化するので一時点の計測で断言はできませんが、公表値はほぼクリアしているようです。

 

 

 

フィリピン在住15年、Starlinkで初めて世界中と繋がったと実感しています。