亡くなった妻が、晩酌の後に作ってくれたおにぎりの味が今でも忘れられません。
熱々のご飯を塩味だけでふっくらと握った小さなおにぎりです。
梅干しと漬物のおにぎりで育った世代の私には、おにぎりにまつわる多くの思い出があります。
写真は白ごはんより
日本政府が観光ビザの要件を緩和して以来、パック旅行で日本へ行くフィリピン人も増えたので、おにぎりの人気も聞くようになっています。
ファミリーマートは2020年、セブンイレブンは2022年にフィリピンでおにぎりの販売を始めましたが、地元のジェンサンではおにぎりの話を聞いたことはありませんでした。
ファミリーマートのホームページより
セブンイレブンのホームページより
先日、ふと思い出して最寄りのコンビニに立ち寄っておにぎりのことを尋ねると、ジェンサンでも売っていると言います。
あいにく品切れで、ダバオから深夜に届けられるので朝なら買えるというアドバイスでした。
翌日、ゆっくり朝食を摂った後、件のコンビニへ行くと、お目当のツナ・マヨはなく、売れ残っていた次の3種類を購入しました。
陳列スペースは狭く、30−40個が並べられる程度です。
1、サーモン・マヨ:P65
2、チキン・テリヤキ:P55
3、スパイシー・カニ・マヨ:P55
おにぎりが好きな息子のNormanは直ぐにコンビニおにぎりを食べ、評価は次の通りでした。
彼は何でも美味しいと言って食べるので、評価の低い種類はよほど彼の味覚に合わなかったのでしょう。
コンビニおにぎりの評価
私も昼食時にサーモン・マヨを冷蔵庫から取り出して試食しました。
私のおにぎり作りの参考にしようと、サーモンのつまり具合を確認するため半分に切ったところ、ごはんがベチャベチャです。
一口だけ味わって、食べるのをやめました。
おにぎり販売には長い経験を有する会社ですから製造から販売まで完璧な品質管理システムが構築されているはずですが、運用するのはフィリピン人です。
日本人コックのいない日本食レストランと同じことが起きているようです。
詳細なレシピはあっても、経験の浅いフィリピン人コックに日本料理の本質を理解するのは困難で、出されるのは大概日本食まがいの料理です。
ジェンサンの日本食レストラン:Photo by Victor Pineda
さらに、フィリピンの気候も品質管理を困難にしています。
2日間の賞味期限を達成するには、外気よりはかなり低い温度で保管する必要があるでしょう。
センターから出荷されて顧客が食べるまでに何度も汗をかくはずです。
コンビニで受け取ったときも、冷蔵庫から取り出して食べるときもおにぎりのラッピングが汗でベタついていました。
マニラの月別最高・最低気温(Weather and Climate)
フィリピンではコンビニ方式によるおにぎりの販売は考えるほど簡単ではないようです。
また、1個55−65ペソの価格では、1日の収入が1,200ペソ以下の家庭が80%に達するフィリピンで、メリエンダにおにぎりを買える顧客はかなり限定されます。
メリエンダの王様パン・デ・サルは1個2−5ペソ、パンシットは1人前20−30ペソ程度です。
パン・デ・サル
パンシット:Photo from Reddit
みんなが気軽に食べられるおにぎりを作れないか?
ブランド長粒種米並みの価格で、味も良いフィリピン産の短粒種米に最近出会いました。
また、ジェンサンは「フィリピンのマグロ首都」と呼ばれるようにマグロの水揚げ港で、ツナ缶などを製造する水産加工業の集積地です。
早速、調査を進めることにしました。
フィリピン産の短粒種米
スーパーマーケットのツナ缶コーナー