自分が書いた文章をグーグルで翻訳すると、意味不明の英文になることが度々あります。

主語や述語を省いたり、論理的でないことを言っているためだといつも気づかされます。

 

私の会話や文章は情緒がベースになっているのです。

その会話や文章を交わす相手も違和感なく受け取ってくれるので、日本人は情緒的だということなのでしょう。

 

東洋経済より

 

毎年8月15日が近づくと、「太平洋戦争の犠牲者が礎となって、今日の平和と繁栄が築かれた」という意味の発言が聞かれるようになります。

 

情緒的な日本人は思わず納得したりするのですが、この二つの事実に因果関係はありません。

 

太平洋戦争で亡くなった310万人の日本人は無謀な国家の犠牲になっただけで、今日の平和と繁栄は連合国の占領政策によってもたらされたものです。

 

全国戦没者追悼式:首相官邸

 

アメリカは開戦当初から勝利を確信して、占領政策の検討を始めています。

日本の陸軍戦争経済研究班は開戦直前の1941年7月に、アメリカと日本の経済力の差は20対1という報告書を提出しました。

 

日本軍部は戦線を中国大陸から東南アジア、南太平洋へと拡大したにも拘らず、戦争における輸送・補給の重要性を軽視し、太平洋戦争開戦時には輸送艦、海防艦を殆ど所有していませんでした。

 

しんぶん赤旗資料

 

そのため、必要な兵員・軍需物資の輸送・補給ができなくなり、民間の商船を徴用したのです。

世界第3位の船腹量を誇った日本の商船隊は、総船腹の88%に当たる2,568隻が海防艦の護衛もなく潜水艦の魚雷攻撃や空爆などにより撃沈されました。

 

太平洋戦争で戦死した軍人軍属230万人の半数以上は、補給もなく、捕虜になることも許されない状況で戦闘を継続し、病死・餓死したものと推定されています、

 

さらに、餓死する前に自決・万歳突撃を選んだ兵士を加えると、百数十万人に達します。

 

魚雷攻撃によって沈没する徴用商船:Photo from The National WW II Museum

 

サイパンの万歳突撃で死亡した日本軍兵士:Photo from r/wwiipics

 

アメリカを中心とする連合国は、日本が受諾したポツダム宣言に基づいて占領政策を実行しました。

 

その過程で実施された日本国憲法の制定、農地改革、労働改革、財閥解体などがなければ、平和も民主主義も驚異的な経済発展も実現しなかったことでしょう。

 

残念ながら、その何れもが当時の日本政府にはできなかったことなのです。

 

 

再軍備論者は情緒的な国民に「日本国憲法はアメリカの押し付けだ」と訴えます。

 

彼らはその押し付けられた憲法がもたらした恩恵に言及することはありません。

憲法解釈だけで軍備を増強し続ける言い訳をしているだけなのです、

 

連合国と締結した平和条約が1952年に発効して以来、日本は独立国です。

国民の総意さえあれば、いつでも憲法は改正できます。

 

 

超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する議員の会」は春秋の例大祭と終戦の日に同神社に参拝し、在任中にも参拝した安倍元首相は「国に殉じた人に尊崇の念を示す」と述べています。

 

国民を侵略戦争に動員する精神的な支柱であった靖国神社は、信教の自由や政教分離を定めた日本国憲法により、戦後は一宗教法人となりました。

 

しかし、同神社は太平洋戦争を美化・正当化する展示や発言を繰り返しており、1978年にA級戦犯を合祀した際には、「A級戦犯だけを合祀しないのは極東裁判を認めたことになる」と説明しています。

 

超党派の議員連盟による靖国神社参拝:NHK

 

安倍元総理の靖国神社参拝:公式twitterより

 

超党派の議員連盟による靖国神社参拝は、情緒的な勘違いではなく、確信犯です。

侵略戦争の事実を覆い隠し、人権も尊厳もなく消耗品のように死んでいった310万人の戦争犠牲者を冒涜するものです。

 

私たちに求められているのは、彼らの絶望と無念に真正面から向き合い、慰霊し、同じ過ちを繰り返さないことなのです。

 

出陣学徒の手記:NHK

 

出陣学徒の手記:NHK

 

参考文献:

(1)連合国としての対日占領政策 佐久間 大介、和田 龍太

(2)靖国神社って何? しんぶん赤旗