アジアの多くの地域が4−5月としては極めて珍しい猛暑に見舞われ、暑さによる死者の集団発生が報じられました。

 

極端な暑さが発生したのは主に東南アジアや南アジアですが、日本でも4−5月としては異例の30度以上の気温が観測されています。

 

写真はウェザーニュースより

 

気象学者で気象歴史家のマクシミリアーノ・エレーラ氏は、今回の異常気象を「前代未聞の恐ろしい暑さ」と述べ、「アジア史上最悪の4月熱波」と表現しています。

 

4月下旬までにアジア十数カ国の観測地点数百カ所で、最高気温の記録が破られ、熱波は5月末まで続きました。

 

 

Photo from MetDesk

 

地球規模での気候の変動が加速しており、極端な熱波の発生はますます普遍的になると多くの科学者が予想しています。

 

2022年の研究では、2100年までに極端な熱波の頻度が3倍から10倍に増加すると予測されており、各国は気候変動適応体制の構築を急いでいます。

 

日本の気候変動適応推進体制(国立環境研究所)

 

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です

逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。

 

この現象は、東南アジアだけでなく、世界中の異常な天候の要因になると考えられています。

 

気象庁資料

 

フィリピンでは記録的な猛暑は免れましたが、フィリピンの夏と呼ばれる4−5月には最高気温が平年より3−4度も高い日が続きました。

 

6月になって暑さが和らぎ一息ついていたところ、フィリピンに少雨と高気温をもたらすエルニーニョの発生が確実となったのです。

 

太平洋赤道域の海面水温(1月30日ー2月5日)(NOAA)

 

太平洋赤道域の海面水温(5月29日ー6月4日)(NOAA)

 

フィリピンの人たちが暑いと言うのを聞いたことがありませんでしたが、パートナーのLaiは毎日のように『暑い!」とこぼしていました。

 

フィリピンに長く住んでいると、雨季、乾季、乾季の終わりの夏、それぞれの微妙な気温の変化を体で感じるようになります。

平年より3−4度も高いと、異常値を検知した体内警報が鳴り止みません。

 

過去3年間はフィリピンに多雨と低気温をもたらすラニーニャが居座っていたので、昨年に比べると数度も高いのです。

 

 

中国・米国・欧州の研究者からなるチームが、「人口増と地球温暖化進行のシナリオによっては、今後50年以内に10−30億の人々が、過去6千年にわたって人類が繁栄してきた気候条件の外に押し出される」という研究結果を米国科学アカデミー紀要(2020年5月)に発表しています。

 

人口移動が生じない場合、35億人が年間平均気温29度以上の状況に置かれることが予想され、世界中の退職者の移住先となっている東南アジアの国々も例外ではありません。

 

酷暑地域の拡大(2070年)(米国科学アカデミー)

 

私はフィリピンに15年近く住んで、フィリピンの暑さには慣れたものと信じていました。

しかし、今年のダブル・パンチには不快を超えて目眩がしました。

 

とりあえず、夏の酷暑対策として緊急避難先を確保する必要があります。

日本のバブル期に建設されたスキー・リゾート・マンションが格安で売りに出ているので、早速調査を開始したところです。

 

ヤフー・ジャパンより

 

参考資料:「Future of the human climate niche」米国科学アカデミー紀要(2020年5月4日)