パートナーLaiの父親4兄妹が資金を出し合ってモスクを建立することを決めたのは2021年10月でした。

 

彼らの家系はかつてミンダナオで栄えたMaguindanao王国以来のイスラム教徒で、4人はメッカへの巡礼も行った敬虔な信徒です。

 

日々の礼拝は自宅で行い、金曜日の集団礼拝はMaasimのモスクへ行っているのですが、自分たちも含め地元Kamangaのイスラム教徒が心ゆくまで礼拝できる地元のモスクが願いだったのです。

 

The Grand Mosque(コタバト市):Photo by Mohamad Calolong

 

建設場所はKamangaのバランガイ・ホール西側で、叔母のココナッツ農場の一角です。

 

大まかな予算と仕様が決まったところで、Laiと弟のBongは建築事務所を訪れました。

 

 

 

敷地のココヤシを伐採して、起工式にこぎつけたのは2021年11月17日です。

 

4人の兄妹とその親族で建設工事の成功を祈念しました。

 

 

 

コロナウイルス感染症の拡大で、資材の調達と建設工事が円滑に進まず、2022年10月に8割ほど完成したところで工事は中断されました。

 

資材費が高騰して、予算の3百万ペソでは足りないというのが建築事務所の説明です。

 

 

工事は今年の1月になって再開され、3月中旬に完成しました。

 

礼拝はカアバがあるメッカの方角(キブラ)に向かって行われるため、モスクは西北西/東南東の方位に建てられています。

 

Kaaba(メッカ):Photo by Muhammad Mahdi Karim

 

 

モスクの西北西端に設置されている塔(ミナレット)は、1日5回の礼拝が義務付けられた信徒に対し、その時刻を呼びかける「アザーン」を行うための場所です。

 

以前は、ミナレットの上からムアッジン(アザーンを行う人)が肉声で礼拝を呼びかけていましたが、現在は礼拝室に設けられたマイクを通してスピーカーからアザーンを流しています。

 

 

塔とモスク中央部にあるドームの頂には三日月型のシンボルが取り付けられています。

 

イスラム暦では三日月が出たところから月が始まるので、三日月型がイスラムのシンボルとして使われているのです。

 

 

そして、集団礼拝が行われる3月17日(金)にお披露目が行われました。

 

礼拝には男性50人、女性30人の定員を超えて、114人の信徒が参列しました。

 

 

 

礼拝室には絨毯が敷かれているだけです。

 

メッカの方角の壁にはミフラーブと呼ばれるアーチ状の窪みがあり、その前にはイマームが説教やスピーチをする説教壇(ミンバル)が設置されています。

 

神の唯一性を重視するため、モスクには宗教的シンボルや聖像など偶像になりうるものは一切ありません。

 

 

集団礼拝が終わると、近所の住民も招いて、叔母の家でお祝いの食事が振舞われました。

 

このお祝いには牛1頭が料理されています。

 

 

 

3月22日、イスラム教の聖なる月「ラマダン」が始まりました。

 

Kamangaの信徒は自分たちのモスクで心ゆくまで礼拝し、信仰を深めています。