ドライ・フルーツの歴史は紀元前4,000年のメソポタミアまで遡ります。
その甘み、栄養価、長期保存性から、ドライ・フルーツは主要な食料の一つとなっていました。
ナツメヤシの乾燥工程(アッシリア帝国):Photo by Nguen
世界的に流通しているドライ・フルーツはぶどう、プラムなど温帯果実ですが、フィリピンではトロピカル・フルーツ、特にドライ・マンゴーが有名です。
ドライ・マンゴーの商業生産はマンゴーがまだ季節性の果実であった1950年代に、過剰生産された果実の保存策として始まりました。
Photo from Profood
フィリピン最大のドライ・フルーツ加工会社はセブを本拠地とするProfood Internatinal Corporationで、15種類のフルーツを加工して世界50カ国に輸出しています。
同社の工場は1日1,100トンのフルーツの加工能力がありますが、選別・皮むき・スライスなどは手作業です。
Photos from Profood
フィリピンではドライ・フルーツは輸出されるだけでなく、スナック、サラダ・シリアルのトッピング、パン・ケーキ・料理の材料として日常的に食べられています。
そのため、包装も50g、100g、200gと用途に応じた選択が可能です。
スーパーマーケットのドライ・フルーツ売り場も充実しています。
売れ筋の商品なのです。
フィリピンのCarabao Mangoは世界一甘いマンゴーとギネスに認定されています。
槍の穂先状にスライスされたドライ・マンゴーはその甘さだけでなく、自然な美味しさと風味が閉じ込められており、一口ごとに濃縮されたマンゴー本来の味がします。
Photo from BDP
パイナップルは果汁が豊富で、酸味のある甘さと柑橘系の風味がとても爽やかな味わいです。
ドライ・パイナップルはぶつ切りにしたものが主流で、ぎゅっと噛むと、まさに熱帯のキャンディーのような味と風味が口に広がります。
Photo from David Roberts
パパイアはそのほのかで、しとやかな甘さが特徴です。
トロピカル・フルーツには珍しい味なので、フィリピンの人たちはエキゾチックだと評しています。
ドライ・パパイヤは縦長、ぶつ切り、サイコロ状にスライスされ、そのエキゾチックな味と風味が濃縮されています。
Phoro from Island Fruits
Photo from Azista
ポテト・チップスのバナナ版がバナナ・チップスです。
食べ飽きない味と食感を実現するため、フィリピンでは主として料理用のCardava種が原料にされています。
ドライ・マンゴーに次ぐ輸出商品で、30カ国へ出荷されています。
Cardava:Photo by Obsidian Soul
Guyabanoはパイナップル、いちご、レモンを混ぜ合わせたようだと言われる清涼感のある味と滑らかな舌触りのフルーツです。
栄養価が高いだけでなく、乳がん細胞の増殖を抑制し、風邪に効くなど様々な薬用効果があるとフィリピンでは信じられており、専用のFruits Stationができるほど人気があります。
Dried Guyabanoは清涼感のある味を楽しめるサプリメントのような存在です。
Photo by Damien Boilley
フィリピンにはその他にも、Dried Green Mango、Dried Young Coconut、Dried Guavaなど多くのドライ・フルーツがあります。
ドライ・フルーツは豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維などを含む他、抗酸化作用があるものが多く、フィリピンの人たちの食生活を豊かにしているだけでなく、健康維持にも一役買っています。
Photos from Profood