地元ジェネラル・サントス市の環状道路沿いに鉢植えの花木を売る屋外園芸店があちこちにあり、コロナウイルス感染症のパンデミックになってからは、さらに増えたように思います。
パブリック・マーケットへ行った帰り道、少し時間があったのでパートナーのLaiと立ち寄ってみました。
2軒並んである園芸店の花は全てブーゲンビリアでした。
ブーゲンビリアは南アメリカ原産の低木で、フィリピンでは最も好まれる観賞用の花木の一つです。
常緑で、様々な品種が年間を通じて花を咲かせますが、夏季(3−5月)の花が特に鮮やかです。
ところが、目にしたのは単なるブーゲンビリアではありませんでした。
それぞれの鉢植えに、様々な工夫が凝らされています。
店員は”Bonsai"だと言います。
盆栽は中国で始まり、日本には平安時代に伝わってから趣味として広く普及し、現在に至っています。
フィリピンにもスペイン植民地時代以前に移住した中国人が盆栽を育てていた記録が残っていますが、普及し始めたのは日本の影響で、1960年代になってからです。
今では愛好者が各地で同好クラブを結成するまでになり、”Bonsai"と言えば誰でも分かります。
まず目につくのは、1本の木に何色もの花をつけていることです。
変異種が2色の花をつけることが稀にあると言いますが、これは接木のなせる技です。
展示場の一角で、若者が接木をしていました。
日本では樹液の流動が活発な3−5月に接木をしますが、フィリピンでは時期を選ばないようです。
台木の枝に異なる品種の穂木を接木するだけでなく、台木の幹を地面すれすれに切ってその円周に数本の穂木を接木しているものもあります。
さらには、台木の幹の円周に接木した穂木が成長したあと1本に接合されているものがありました。
Photo from Miles Bougainvillea
Photo from Miles Bougainvillea
接木の材料は展示場の奥で育てられています。
土台となる台木と枝を切り取って接木する品種が多数用意されていました。
多彩な花を観賞するだけでなく、幹と根の形状に工夫を凝らしたものもあります。
盆栽の面目躍如です。
展示場を30分ほどくまなく案内してもらい、ブーゲンビリアの鉢植えを堪能しました。
値段は500ペソから5万ペソの範囲です。
Laiが買ったのは、乗用車でも運べるサイズで450ペソでした。
園芸が趣味のLaiにスウィッチが入ったようです。
次回は弟に頼んで、ピックアップで買い付けに来ると言います。
買ってきたブーゲンビリアの鉢植えをガーデン・ジムの正面に置くと、建物全体に命が宿ったように見えます。
色彩の乏しい庭にブーゲンビリアの鉢植えを並べると、赤、紫、橙、黄、桃、白に彩られた生き生きとした庭園が実現しそうです。