アボカドは上質なバターのコクと豊かなナッツの風味、粘りのある滑らかな食感、さらには果物の中で最高の栄養価を持つ驚異のトロピカル・フルーツです。
アボカドはメキシコ中南部からグアテマラの高地が原産地で、主に熱帯で栽培されています。
紀元前5,000年頃迄に栽培されていたことが遺跡で確認されていますが、本格的に栽培されるようになったのは13−15世紀です。
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グアテマラのアボカド農場:Photo by Callan Bird
アボカドにはメキシコ系、グアテマラ系、西インド諸島系の3系統、1,000品種以上あると言われています。
現在は次のような品種が商業生産の主力です。
アボカドの品種:Pfoto from healthline
アボカドは樹上では熟さず、収穫後に追熟させることで熟成します。
熟すと果皮の色が黒っぽくなりますが、熟しても色の変わらない品種では、果皮を軽く押してわずかに柔らかさを感じる程度が食べ頃の目安です。
果肉はきれいな薄緑色で、空気にふれていると茶色に変色しますが、レモンなどの酸をかけると変色を抑えられます。
アボカドはデザート、サラダとしてだけでなく、タコス、サンドイッチ、ハンバーガー、巻き寿司の具材として、さらにはシェーク、アイスクリームにしたり、オイルを抽出して食用や石鹸の材料にも使われています。
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アボカドは上質な不飽和脂肪酸に富み、全ての果物の中で最大のカロリーを有しています。
また、糖分はなく、ビタミン類、ミネラル、食物繊維が豊富で、高栄養価果実の代表です。
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アボカドの栽培には、高栄養価の果実を成熟させるため大量の栄養分と水分を必要とし、開花から収穫までの期間は品種によって8ヶ月から18ヶ月を要します。
主要生産地であるメキシコでは、栽培面積の拡大による森林破壊や地域の水資源の枯渇が社会問題となりつつあり、アボカド栽培による環境負荷をいかに軽減するかが今後の重要な課題です。
メキシコのアボカド農場:Photo by Ronaldo Schemidt
フィリピンではスペイン植民地時代にアボカドの栽培が試みられましたが成功せず、アメリカの植民地となった後、1903年に同国の農業専門家がカリフォルニア、ハワイ、コスタリカからの品種を持ち込んだのが本格的な栽培の始まりです。
当時導入され時代を経て選別された多くの品種が現在でも栽培されており、次の8品種はNational Seed Industry Counselの認定を受けています。
RCF Morado:Photo from PAGA
Cepillo Green:Photo from PAGA
新たな試みも始まっており、Dole Philippinesは2006年に主として輸出用にHass種の栽培を開始し、地元の農業会社がそれに続いています。
2019年のアボカド国内生産の状況は次の通りで、輸出も少しずつ伸びています。
Dole Philippinesのアボカド農場(ミンダナオ島):Photo from Dole Philippines
Hass種のアボカド:Photo from Dole Philippines
フィリピンのアボカドは80ペソ/kgと安価ですが、小規模栽培されているため品質にばらつきがあり、人気は今ひとつです。
そのため、アボカドを堪能するにはかなりの鑑識眼が必要となります。
しかし、その分だけ最高のアボカドに巡り会えたときの感動は一入です。
隗より始めよ。
鑑識眼を磨くため、早速、我が家の裏庭菜園にアボカドの苗を2本植えました。