2021年4月、息子のNormanに委託して仮想通貨に12,000ドルを投資しました。

 

そのときの彼の予想は、年末にはビットコインが10万ドル、イサリアムが1万ドルに達するというものでした。

当時のレベルのそれぞれ約3倍、5倍に相当する価格です。

 

Photo by Jernej Furman

 

イサリアム・アイコン:Wikiprdia

 

結果はどうだったのでしょう?

 

彼が主たる投資対象としたビットコイン、イサリアム、ソラナがそれぞれ68,000ドル、4,800ドル、250ドルと史上最高値を更新したので、投資資金を12,000ドルから20,000ドルに増やすことができました。

 

しかし、仮想通貨市場は最高値更新後に調整しており、年末時点のビットコインは48,000ドル、イサリアムは3,800ドル、ソラナは175ドルでした。

 

ビットコイン:Tradingview

 

イサリアム:Tradingview

 

ソラナ:Tradingview

 

仮想通貨の時価総額は年初の7,700億ドルから、11月9日には2兆9,200億ドルに達しました。

年末時点でも年初の約3倍を維持し、仮想通貨市場は急速な成長を遂げたと言えます。

 

時価総額2.9兆ドルは韓国証券取引所に匹敵し、世界第3位の東京証券取引所の約半分です。

 

仮想通貨の時価総額:Tradingview

 

仮想通貨取引所に上場されている通貨数は、年初の1,000から年末には8,000を超えました。

 

時価総額の1位と2位の通貨に変動はありませんが、両通貨の市場占有率は変化しており、1位のビットコインは70%から40%に、2位のイサリアムは10%から20%になっています。

 

規模増大への対応、セキュリティーの向上、持続可能性の実現のためアップ・グレードを継続しているイサリアムが評価された結果です。

 

同時に、特徴のある他のアルトコインも徐々に市場占有率を高めており、投資家は仮想通貨に金のような希少性を求めるよりも、金融システムの次代を担うその機能性に焦点を当て始めています。

 

ビットコイン市場占有率:Tradingview

 

イサリアム市場占有率:Tradingview

 

2021年には、仮想通貨市場を成長させる起爆剤として投資家が待ち望んでいたETF(上場投資信託)が初めて上場されました。

 

米国SEC(証券取引委員会)には2013年以来ビットコインETFが申請されてきましたが、管理体制などの問題からいずれも却下されていたもので、今後は現在申請中のビットコインETFが承認されていく可能性が高まっています。

 

 

ニューヨーク証券取引所:Photo by Elliott Cowand

 

多くの人を驚かせたのは、中米のエルサルバドルが9月7日にビットコインを米ドルと並ぶ法定通貨にしたことです。

 

推進者である同国大統領は次の利点を強調しています。

 

1、国民(650万人)の70%に及ぶ銀行口座を持たない人たちに利便をもたらす。

2、所得収支の黒字化に貢献している海外で働く国民からの国内送金を容易にする。

 

エル・サルバドル大統領:Photo from OEA-OES

 

仮想通貨市場に調整圧力を与える次のような米中政府の動きもありました。

 

1、マイニング大国として知られていた中国で、5月にマイニングが禁止され、9月には仮想通貨の決済や関連サービスの全面禁止が打ち出された。

 

2、米国SECは仮想通貨を有価証券としては認めていない。従って、分配や配当が生じる仮想通貨およびその関連サービスへの対応を厳格化し、レンディング(仮想通貨の貸し出し)やステーキングの報酬はその対象となった。

 

米国証券取引委員会:Photo by D_Ramey_Logan

 

2021年、多くの投資家や企業が仮想通貨市場に参入して、時価総額を大幅に高め、市場は活況を呈しました。

 

しかし、2022年の展望は明るくはないようです。

 

ビットコインは2012年、2016年と4年ごとに訪れる半減期の翌年に史上最高値を更新し、その翌年には調整局面入りするサイクルを繰り返しており、2020年も同じパターンを辿りつつあります。

 

ビットコイン:Tradingview

 

コロナウイルス・ワクチンの接種が進んだ先進国で需要が急増する一方、途上国における生産能力の低迷と国際海運の輸送力低下によって供給不足が生じ、先進国でインフレ率が急上昇しています。

 

特にインフレ率の高い米国は2022年3月には量的緩和を終了し、同年内に三度の利上げを行う意向です。

 

現在すでに投資家・企業の仮想通貨投資は伸びておらず、資金調達コストが上昇する2022年には売り圧力が高まるでしょう。

 

単位:%

 

また、米中政府の次のような規制の動きが予想されます。

 

1、2022年に計画されているデジタル人民元の本格的導入に備え、中国政府は仮想通貨規制を更に強化する可能性がある。

 

2、米国SECは、仮想通貨投資家が株式や他の資産を取引する場合と同じ種類の保護を得るには監視強化は欠かせないとし、2022年中の実施を示唆している。

 

デジタル人民元の実証実験:Photo by 30000lightyears

 

多くの投資家、エコノミストは米国の利上げによる株式市場の調整を予想しています。

そのとき、究極の価値の源泉が非常に曖昧な仮想通貨の市場がどこまで持ちこたえることができるのか?

 

投資資金40,000ドルの達成を目標にしているNormanにとっては、試練の年になりそうです。

 

S&P 500株価指数:Tradingview

 

Nasdaq Cripto価格指数:Tradingview