健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。
2000年にWHO(世界保健機構)が提唱した新しい指標で、高齢者にとっては寿命と並ぶ関心事です。
岡山市資料
平均寿命も健康寿命も毎年、伸びていますが、両者の差は女性12年、男性9年で過去20年間、変わっていません。
身体機能や認知機能の低下に悩まされながら、この12−9年間をどのように生きるかというのは高齢者に与えられた課題です。
厚労省資料
妻が亡くなってから、一人暮らし、娘の家族との同居を経て、現在はパートナーLaiの家族と暮らしています。
年齢を重ねるに従って、強く感じるようになったことがあります。
それは、いつまでも自由に行動したいということです。
Photo by Bob Silver
79歳になって運転免許証を更新したとき、医師の問診では何も指摘はされませんでした。
昼間の運転に困難は感じませんが、照明のない狭い道を夜間運転するときは少し緊張します。
自由な行動が少しずつ脅かされているようです。
サンフランシスコのスーパーマーケットで買い物をしていると、80代と思しき高齢者が自分で車を運転して来ているのをよく見かけました。
アメリカでは十代の運転事故は社会的な問題となっていますが、高齢者の運転事故が問題になることはありません。
道路、信号・標識、規則などの運転環境が整備されているので、高齢者も運転しやすく、かつ、歩行者を巻き込む事故などは稀だからです。
Copyright (c) en.wikipedia.org
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年齢層別運転事故率:Foundation for Traffic Safety
ドゥマゲテに住んでいたとき、知人の母親がメイドと二人で暮らしていたので、時々訪ねていました。
「私は一人暮らしなので、そのうちに運転手を雇うつもりだ」と話したところ、「絶対に運転を諦めないように」というのが彼女のアドバイスでした。
彼女は86歳の今も運転しています。
ドゥマゲテは道路が狭く、交通信号機も無いのですが、市内でスピードを出すことはありません。
Photo by WHILL
最近、日本の限界集落で生きる高齢者の日常生活を描く映像を見る機会がありました。
勇気付けられたのは、彼らは80代、90代でも体が動く限り、農作業や買い物に車を運転しているということです。
もっとも、彼らは運転しないでは生きてはいけないでしょう。
写真は電通報から
パートナーLaiの父親は82歳で、運転に不安を感じた彼女に説得されて数年前に運転を諦めました。
地元に息子が二人いて、特に次男はビジネスで運転手を何人も雇っているので、サポート体制は整っています。
しかし、父親は去年頃から膝の痛みが増して、歩行が不自由になりつつあります。
日課のココナッツ農場の見回りが困難になり、Laiは杖をプレゼントしましたが、膝の負担を若干軽減できるだけです。
また、父親の兄妹4人でモスクを建立する計画が進んでおり、場所は1kmほど離れた叔母の家の側です。
完成後はその距離を日に何度か通うことになります。
Photo by Terry Hassan
車の運転を諦めた父親の手軽な移動手段はあるのか?
すぐに思い浮かべたのはゴルフ・カートですが、ココナッツ農場内を移動するには車輪が小さ過ぎます。
Laiがリゾートで乗ったことがあると言うATV(All-terrain Vehicle)は一人乗りで、将来を考えると二座席必要です。
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Photo from Extreme Sports Philippines
二人乗りのバギーを調べてみると、目的にほぼ合致する車種が見つかりました。
価格は20万ペソ前後です。
二輪駆動ですが、大きな駆動輪が付いているので、父親の行動範囲を十分カバーできます。
Photo frm UCM
Photo from UCM
公道を走行できるように改造してくれるか販売元に照会すると、していないという回答でした。
乗降用のステップ、ルーフなども合わせて、購入後に改造することになります。
Photo from Storm Buggies
いずれ私にも車の運転を諦める時が来るので、Laiの父親はよい手本です。
しかし、私の生活の場は交通量の多い都市なので、異なる対応策が必要になります。
自動運転の車が買えるようになるまで、運転を続けることができるか?
私の目下の関心事であり、努力目標です。