前々回の記事でフォークブーツの交換をしたTW200(実車のオートバイ)ですが、その時に気が付いたステアリングステムベアリングの不良が気になってプラモデルに集中できません。

やはり意識すると、ハンドルが直進位置にくると引っかかる感じがあります。

とりあえずプラモデルの記事は後回しにして修理してしまう事にしました。

 

 

 

交換するベアリングは上イラストの赤丸を付けた部品です。

ステアリングステムベアリングとは、ステアリングの回転軸のベアリングであり上下に配置されています。

部品としては、一つのベアリングが三分割されているので注文が面倒くさいです。

 

とりあえずネット通販で部品を揃えました。

上画像のヤマハ純正部品は上下のダストシールです。

ベアリング本体は同サイズの社外品にしました。

サイズは同じですが、構造が全く違う製品です。

こっちの方が純正品より安いし耐久性も上回ると判断しました。

 

部品が揃ったので作業開始です。

今回の作業、バイク屋なら数時間で終わらせると思いますが、当方にとっては初めての作業なので長期戦が予想されます。

邪魔にならない、自宅敷地の端っこで作業する事にしました。

舗装されていないので、スタンドをかける部分には鉄板を敷く事にします。

 

 

前々回の記事では、前側は自動車の車載ジャッキで持ち上げたのですが安定性に不安がありました。

今回は、アマゾンでバイクジャッキなる物を買いました。

実際に使用してみて安定感がまるで違います。

¥ 6,990 もしましたが、バイク屋に同じ作業を頼めば数万円の工賃を取られると思うので許容範囲でしょう。

 

 

作業を進めます。

ライトやメーターやハンドルなどの電気の通っている部品も弄りますので、念のためにバッテリーのマイナス端子を外しておく事にしました。

まあ、プラス端子を外しても同じですが、バイクも車同様に車体アースされていると思うのでマイナスを外す作業の方がショートの危険が少ないと思います。

 

前々回の記事と同様にタイヤとフロントフォークを外す必要があるのですが、タイヤを外してしまうと赤丸を付けたボルトを緩めるのが困難になりますので先に緩めておく事にしました。

具体的にはハンドルを外してから股でタイヤを挟んで押さえながらレンチでボルトを回します。

 

前輪やフロントフォークを取り外した後、ヘッドライト、メーター、キーシンダー、ハンドル、などを外したところです。

多数のコードやワイヤーが繋がっているので分離は困難です。

邪魔にならない位置に避けながら作業して行く事にします。

 

トップブリッジを外すとステアリングフィッティングナットが露出します。

これを緩めるとステムシャフトが抜けます。

 

本来はフックレンチを使う所ですが、合うサイズを持っていないので、原チャリのプーリーを外す時に使う工具で代用しました。

まあ、ここは大して強い力で締まっていないので問題ありません。

因みに強い力で締めるとこの手のベアリングは大幅に寿命が縮みます。

 

ステムシャフトが抜けました。

まあ、ベアリングのボール部分は乗っているだけですが、それ以外の部分は圧入です。

これから力仕事になります。

 

ベアリング上下にあるボールを受けるリングは、ベアリングレースと言います。

先ず、車体側の上側レースを外しました。

ここは大昔に買ったミニプーラーセットのスライドハンマーで外しました。

いつもこのセットは役に立たないのですが、今回もここしか使えませんでした。

下側のレースは、適当なソケットレンチのボックスにエクステンションバーを付けて、それをハンマーで叩いて外しました。

 

シャフト下側のレースが一番厄介でした。

丁度良い出っ張りがるので、そこにタイヤレバーを掛けたり、後ろ側はタガネで叩いたりして少しずつ抜いていきました。

 

まあ、区切りが良いと思ったので初日の作業はここまでにしました。

上画像はハンドルがずれないように紐で結わえたところです。

このあと雨に備えて車体カバーをかけました。

 

家に入ってベアリングを分析してみます。

外したベアリングの写真です。

小径の方が上側に付いていた物です。

手で動かしたら、上側の小径のベアリングの方がゴリゴリした感じでした。

普通に考えると下側の方が路面からの衝撃を大きく受けそうに思うので意外に思いました。

 

レースの内側はこんな感じです。

見た目でも小径の上側が痛んでいます。

 

新たに取り付けるベアリングとの比較です。

新しい方はテーパーローラーベアリングと言われるタイプで、後輪駆動車の前輪の車軸に使われるタイプと同じです。

大きさも軽トラックの前輪に使われる物と同じくらいありますので耐久性を期待しています。

 

今回買ったベアリングは某ショップがTW200用として販売している商品です。

たぶん、そのショップの特注ではなく、丁度良いサイズの市販品を転売しているだけだと思います。

刻印が見えるように写真を撮っておきましたので、分かる人は参考にしてください。

 

数日後、作業再開です。

ここからは組付け作業になります。

車体側のベアリングの組付けは、ソケットレンチのボックスに古いベアリングレースをかませてハンマーで打ち込みました。

 

シャフト側は適当なパイプをかませてハンマーで打ち込みました。

こっちのパーツはローラーが一体化されていますので、打ち込む前にグリスを塗り込んでやりました。

大きい方の隙間から反対側から出てくるまでタップリと塗り込みました。

使用したグリスは、リチウムモリブデングリースです。

偶々家にあった物でして、入っていた袋の用途欄にベアリングともありましたので、問題無いかと判断しました。

 

ベアリングの打ち込みが終わったので、元通りに組んで行きます。

少し曲者と思うのが上部のヘンテコなナットです。

パーツ表などを見るとステアリングフィッティングナットと言うらしい。

この手のベアリングは、自動車の車軸のベアリング(ハブベアリング)としては経験があるので何となく分かります。

このナットの締め付け具合で寿命が大きく変わります。

ナットの締め具合でベアリングにかかる圧力が変わるのです。

緩すぎればグラグラに、強すぎればすぐに摩耗して壊れてしまいます。

グラグラしない範囲で、出来る限り緩く締めるのが理想です。

とりあえす、工具でグっと締めて、また緩めて、素手で思い切り絞めてから、工具で僅かに進める感じにしました。

 

元通りに組み立てました。

途中、ワイヤーや配線の取り回しが分からなくなりましたが、以前の整備中の写真を参考にする事で元と同じに出来たと思います。

少し走ってみましたが、整備前とは全く違いますね。

直進位置で引っかかる感じは無くなりましたし、ハンドル操作自体が軽くなりました。

今日はここまで。