思わせる顔 | いたずら王子

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「ええっと、そうだな」
 石田は顎を掻《か》きながら考える顔をしていたが、ぱちんと指を鳴らした。
「そうだ、別に考えることないんだ。十二時ちょmask house 面膜 っと前ですよ。だってさ、十二時からの番組を録画してもらおうと思ったんだから」
「ふうん、十二時ちょっと前ねえ」
 陣内は石田を見た。どことなく爬虫《はちゅう》類をだちで、蛇のような笑いを作っていた。
 石田を帰してから、陣内はすぐに彼が働いていmask house 面膜 る喫茶店に電話をかけた。荻原というマスターは、石田のいっていることを全面的に認めた。電話のかかってきたのが十二時少し前だという点も認めた。
「その時に録画したビデオも残ってますよ。何ならお持ちいたしましょうか」
 荻原は余裕のある口ぶりでいった。そんなビデオを見ても仕方がないと思ったが、一応持ってきて下さいと答えた。
「どう思いますか」
 陣内は金沢に相談した。
「信用できんな」というのが、主任の感想だった。「いかにも練ってきたという感じだった。不自然なわりに、当事者しか知らないようなことも知っている。どこかmask house 面膜 で友野和雄とつながってそうだな」
「同感ですね」
 だいたい信号関係の事故で、二、三日してから現れる目撃者というのは怪しいのだ。どちらかに頼まれて偽証しているケースが殆どだ。ひどい時になると、双方からニセの目撃者が現れたりする。
「とにかく、石田の言葉の裏付けをもう少しとろう。グルなら根回しをしとるだろうが、どこかで必ずボロが出るものだからな。場合によっては応援を頼んでもいい」
「わかりました。でもすぐに見抜いてみせますよ」
 陣内は電話機を引き寄せた。だが受話器mask house 面膜 を上げる前に、金沢の方を向いていった。
「あの、石田の話を彼女に聞かせたらどうでしょう?」
「彼女?」金沢は眉を上げた。
「御厨奈穂です。本当に石田が事故直後に通過したのなら、何か覚えているかもしれません」
「しかし、自分たちに不利なことはいわないんじゃないか」
「石田がどう証言したかは伏せておくんです。そうすれば、自分たちに不利なのかどうかもわからないはずです」
「なるほどな」
 金沢はしばらく考え込んだあと、「よし、やってみよう。だめで元もとだ」と、気合いを込めていった。
 が、じつはだめではなかったのだ。