USLPGAツアー2戦目、春のアジアスィング初戦のホンダLPGAタイランドが、タイの名門サイアムカントリークラブで開幕しました。予選落ちなしの4日間トーナメントで、シード選手が大勢揃いました。日本選手も主催者推薦の4人を加えて、12人が出場しました。一方、この大会をスキップしたのが、ツアー初戦を制したネリー・コルダ選手、先週の欧州ツアー優勝のチャーリー・ハル選手、ミンジー・リー選手らで、日本勢では西郷真央選手がスキップしています。コルダ選手はアジアスィング3戦すべてスキップしますが、他の3選手は次週のシンガポールでのHSBC選手権には出場する予定になっています。

 

アジアスィング3戦目の中国で開催されるブルーベイでは、シード選手のほか、エプソンツアー上位選手や最終予選会通過者まで出場権が下りてきて、原英莉花選手、櫻井心那選手、西村優菜選手がエントリーしています。渋野日向子選手はウェイティングの2番手で、十分出場の可能性があります。シード選手以外はリランキングがあるので、前半戦は重要です。馬場咲希選手はの昨年初戦のブルーベイで17位に入り、勢いをつけました。昨年ブルーベイは、優勝の竹田選手のほか、古江選手、西郷選手、畑岡選手、山下選手もトップ10に入っており、日本選手に相性が良い大会ですので、今年も非常に楽しみです。

 

ホンダLPGAタイランドの初日ですが、畑岡奈紗選手がトップタイ。昨年後半からの好調を維持しています。ティーショット、セカンドショットが良かったとコメントしているようですが、ショットメーカーの実力発揮です。同じくトップタイには地元タイのジャナッティ・ワナセン選手、昨年のCMEランク46位、ツアー通算2勝の選手です。データでは特徴が余りない、つまりバランスの良い選手です。1打差で韓国の実力者、チェヘジン選手とイソミ選手に、2022年のTOTOジャパンクラシックの覇者、ドライバーグ選手です。チェヘジン選手は先週の欧州ツアー、サウジインターナショナルでも上位に食い込んでおり、好調を維持しているようです。イソミ選手は昨年CMEランクを前年の71位から10位に上げた選手で、パーオン率も高く総合力のある選手です。

 

他の日本勢は、山下美夢有選手がトップから3打差の16位、更に1打差の26位に古江彩佳選手、吉田優利選手、岩井千怜選手が付けました。更に1打差に馬場咲希選手と勝みなみ選手。ここまではまずまずのスタートといえると思います。スポンサー推薦では吉田鈴選手と宮田成華選手がイーブンパーの48位スタートでした。宮田選手はスポンサーの関係で出場できたようですが、今年はQT順位が低くステップアップツアーが中心となりそうな選手が推薦されるのは異例なことかもしれません。飛距離も出る選手ですし、せっかくつかんだチャンスですので、精一杯プレーして欲しいです。因みに吉田優利選手もスポンサー推薦枠で出場ですが、普通にエントリーしても出場できたので、CMEポイントは与えられるようです。笹生優花選手もスポンサー推薦で出場ですが、2オーバーと今一つ。何とかスランプから脱出して欲しいです。

 

パットの上手さを表すデータは、パット数ですが、1ラウンド当たりの平均パット数とパーオンしたホールでの平均パット数の2つのデータがあります。パーオン率が低い選手は必然的に寄せワンが多くなるので、1ラウンド当たりのパット数は少なくなる傾向にあります。そこでパーオン率したホールに限ってのパット数のデータも取るのですが、こちらもショットの良い選手はホールに近づけるショットを打てるので、必然的にこのデータが良くなります。USLPGAもJLPGAもこの2つのデータを公表していますが、どちらも不完全なデータとなります。USLPGAは全パットのホールからの距離のデータを取り、パットで稼いだ打数のデータを出しているので、これだと本当にパットの上手い人を見ることができるので、パット数のデータと比較しながら、みていきたいと思います。

 

既にこのブログで何回か書いていますが。2025年USLPGAのデータで最もパットで稼いだ打数が良かった選手は山下美夢有選手でした。1ラウンドのパット数平均も6位、パーオンホールでの平均パット数も5位と納得のデータです。パットで稼いだ打数のデータでは、次いでミンジー・リー選手(平均パット数30位、パーオンホール5位、以下同順)、リディア・コ選手(3位、9位)、ジーノ・ティティクル選手(4位、1位)と続きます。ミンジー・リー選手の平均パット数がやや低いですが、彼女の場合グリーン周りの稼ぐ打数がやや低く、その影響が出ていると思われます。

 

ここまでは納得のデータですが、パットで稼いだ打数5位はアンナ・ノードクイスト選手で、1ラウンドの平均パット数は111位、パーオンホールでの平均パット数は121位です。JLPGAのデータだけだと、彼女はパットで大苦戦しているように見えます。2025年の彼女はグリーン周りで平均より0.61打悪く、おそらく寄せワンを取り切れずに、1ラウンド当たりのパット数の足を引っ張ています。パーオン率も109位と悪く、それがパーオンホールでのパット数を押し下げています。昨年彼女は全体的には不調でしたが、パットだけは良かったというデータです。

 

逆の傾向の選手もいます。1ラウンド当たりの平均パット数1位、パーオンホールでの平均パット数3位のキム・ヒョージュ選手です。このデータだけ見るとさぞかしパットで打数を稼いでいると思われるかもしれませんが、パットで稼いだ打数は54位です。彼女の場合は、グリーン周りのアプローチを2位と得意としており、ショットも悪くないのでパットのデータが良く見えます。キム選手は飛距離が出る選手ではなく、かつてはパットも得意でしたが、年々ショットが良くなっている印象があります。その分パットのデータが伸び悩んでいます。古江選手が同じような飛距離で、ここまで同じような変遷を遂げているのが興味深いです。

 

日本の勝みなみ選手にも触れておきたいと思います。1ラウンド当たりのパット数2位、パーオンホールでのパット数2位と、これも素晴らしいパットのデータです。彼女はJLPGA時代も同じようにパットで良いデータを残してきました。勝選手のパットで稼いだ打数は21位と、悪くはないですが、パット数のデータからは見劣りします。勝選手もグリーン周りのアプローチは18位とまずまずの数字で、1ラウンド当たりの平均パット数を良くしていると思います。こうなるとJLPGA時代のパットの上手さは過大評価だったのかという疑問が出てきます。これはもはや解析しようがありませんが、今年の勝選手のパットにまつわるデータには引き続き要注目です。昨年は優勝まであと一歩でしたので、今年の勝選手の活躍に期待しています。

 

USLPGAが2週間の空きいている間に、サウジアラビアで欧州女子ツアー(LET)の開幕戦サウジ・インターナショナルが開催されました。高額賞金大会ということで、USLPGAメンバーも大勢参戦しました。日本選手も5人が出場しました。土曜日が最終日の変則開催で、昨日終了したので、少し結果を見てみたいと思います。

 

優勝はチャーリー・ハル(英)選手。フィールド最上位の世界ランク5位、最終日は12番で長いイーグルパットを決めて、18番でも短くないバーディパットを沈め、見事な逆転優勝でした。昨年のUSLPGAのデータでも、ショット、パットともにバランス良い選手です。ショットの貢献度が60%強で、これは世界No.1のティティクル選手と比率がほぼ同じで、今年も活躍してくれそうです。

 

日本勢では、岩井秋愛選手が1打差の2位。17番の3パットが惜しかったですが、持ち味のアグレッシブなプレーを見せてくれました。畑岡奈紗選手が6位、岩井千怜選手が9位と日本選手が3人トップ10となりました。17位に3日目首位に立った竹田麗央選手。最終日は3オーバーと崩れました。竹田選手の場合は、今回もパットが問題でした。昨年のUSLPGAのデータでも、ショットは世界トップクラスですが、パットでは平均以下となっています。これはJLPGAで女王になった時も同じ傾向であり、もう少しパットを改善したいところです。もっとも、岩井姉妹も傾向は同じで、二人ともショットで1.0打以上稼ぎ、パットは平均並みです。秋愛選手はグリーンを狙うショットが良くパーオン率が高いのに対し、千怜選手はティーショットで稼いでいるという違いはあります。

 

他の上位選手では、LET1勝のキャンドラ・アレクサンダ―(南ア)選手が岩井秋愛選手と並んで2位に入りました。昨年のLETランク4位の選手です。今季も良いスタートを切りました。4位にはカロルタ・シガンダ(スペイン)選手とチェヘジン(韓)選手、ともにUSLPGAで活躍する選手です。シガンダ選手は長年USLPGAで活躍しているおなじみの選手です。チェヘジン選手は、日本で報道されることがほとんどないのですが、昨年のCMEランク8位、ツアー未勝利者ですが実力者です。元々パットが上手い選手ですが、パーオン率も6位と高く、ショットも悪くない選手です。韓国選手では6位にユンイナ選手も入りました。昨年のUSLPGAツアールーキーでしたが、昨年はパットが良くなかったですが、ショットのデータは良く、パットが改善できれば大きく躍進できる可能性があります。一時期ほどの勢いはないかもしれませんが、韓国選手も実力ある有力選手が多数います。

 

同じ6位には英国のミミ・ローズ選手が入りました。昨年のLETランク2位の選手で、USLPGAの最終予選会を通過していますので、今年は米国での活躍も見れるかもしれません。アジア勢の活躍が目立つUSLPGAですが、欧州勢も少し勢いを取り戻している感がありますので、今年要注目です。

 

予選落ちしてしまいましたが、上原彩子選手も出場していました。上原選手はUSLPGAのシード喪失後、2024年からLETに参戦。2024年はランク74位、昨年は61位でした。LETのシード権は60位までですので今一歩というところでした。準シード扱いでそれなりの試合数に出場できるようですので、LETで頑張ってもらいたいものです。LETはこの後、オーストラリアで4試合のほか、南アフリカ、モーリシャスで試合を開催し、5月から欧州本土に移していきます。LETのニュースは日本ではあまり流れませんが、注目していきたいと思います。

 

引き続きUSLPGAのデータについて書きたいと思います。JLPGAではリカバリー率のデータがあり、これがグリーン周りの小技の上手さを示していると言われています。しかし、リカバリー率は、パットの要素が入るのと、容易な場所からだと寄せやすいことを考えるとショットの影響も受けます。USLPGAのデータだとそれが純粋にグリーン周りの上手さを可視化させてくれます。今回も2025年のデータを使ってみてみます。

 

先ずUSLPGAの稼いだ打数のデータだとはっきりわかるのですが、グリーン周りの上手さはそれ程重要でないことがわかります。他のティーショット、グリーンを狙うショットやパットで稼いだ打数は、トップが1.0打近くかそれ以上稼いでいるの対し、グリーン周りはこの部門トップ選手でも0.5打付近です。実際、CMEランクトップ10選手でも、この部門のランク10位以内に入っているのは、この部門2位、CME位のキムヒョージュ選手だけです。世界No.1のジーノ・ティティクル選手もこの部門は16位で、稼いだ打数は0.26打です。

 

この部門は差が余りないのも特徴です。ティティクル選手が0.26打稼いで16位ですが、ここからわずか0.2打下げるだけで、65位まで下がります。多くの選手が差がない中で競り合っている状態です。テレビではグリーン周りのアプローチの上手い選手と言っていることもありますが、この分野では余り差が付いていないのが実情です。

 

グリーン周りが上手い選手はパットも上手い印象がありますが、実はデータでは全くと言っていいほどその傾向はありません。2025年に最もパットで稼いだ山下美夢有選手はこの部門49位です。パット2位のミンジ・リー選手もこの部門は同じく49位。5位のノードクイスト選手に至っては、パットで1.01打稼いでいるの対し、グリーン周りで0.61打平均より悪く(損している)、この部門のランクは155位です。グリーン周りとグリーン上は全く違う技術のようです。グリーン周りもパットも良い選手はリディア・コ選手くらいで、彼女はグリーン周りで稼いだ打数2位、パットで稼いだ打数3位と小技が本当に上手い選手です。

 

USLPGAもリカバリー率は発表しています。1位はキムヒョージュ選手、2位はリディア・コ選手でグリーン周りで稼いだ打数のデータの上位選手となっています。しかし、3位のイムジンヒ選手はグリーン周りで稼いだ打数32位、4位は山下選手で同49位、5位はチャーリー・ハル選手で同25位とこの2つの部門でデータの乖離が見られます。この3人のパットで稼いだ打数の順位は28位、1位、14位で、リカバリー率がパットの影響を受けているのがわかります。

 

日本人として気がかりなのは、この部門で日本選手のデータが芳しくない点です。日本選手で最高順位は18位の勝みなみ選手で、次いで35位の岩井千怜選手となります。小技の上手い印象がある西村優菜選手は42位で、これは竹田麗央選手と同順位。古江彩佳選手は83位、吉田優利選手は85位とグリーン周りで苦戦しています。古江選手については、今年日本のツアーを出ていた時のテレビで、『米国に行ってグリーン周りの引き出しが多くなった』というコメントをテレビ解説者が紹介していましたが、データ上はその効果を見ることはできません。日本と芝も違うので、その影響が出ているのかもしれません。グリーン周りはそれ程重要でないと書きましたが、日本人選手にとっては改善の余地がある領域です。このデータを良くして、一層の日本選手の活躍に期待です。

 

USLPGAが発表しているティーショットで稼いだ打数、グリーンを狙うショットで稼いだ打数、グリーン周りで稼いだ打数、パットで稼いだ打数で何がわかるかという話ですが、このデータとパーオン率の話を書いてみたいと思います。JLPGAだとパーオン率のデータしかありませんが、USLPGAのデータを見てみましょう。データはすべて2025年のデータとなります。

 

パーオン率ですが、パー4、パー5ではティーショットの影響も受けています。例えば、ネリー・コルダ選手と山下美夢有選手を比べると、ドライビングディスタンスが275ヤードと246ヤードで約30ヤード差があります。パー4では、山下選手と比べて常にコルダ選手は30ヤード短い距離からグリーンを狙うことができます。当然パーオン率は高くなることが予想されますが、だからと言ってコルダ選手のグリーンを狙うショットが山下選手より良いとは一概に言えません。これがUSLPGAのデータだと明確にわかります。

 

コルダ選手はティーショットで0.96打稼ぎ、これは全選手中トップ。一方、グリーンを狙うショットは0.55打稼ぎ、これは25位になります。0.55打、25位は十分素晴らしいデータですが、世界No.2選手としては今一つという感じがします。一方、パーオン率は全体12位です。つまりコルダ選手は飛距離で稼いで、グリーンを狙うショットはややティーショットに比べて見劣りするというデータです。これがJLPGAのデータではパーオン率しかないので見ることができません。

 

コルダ選手と同じタイプの選手としては、キムアリム選手(ティーショットで稼ぐ打数7位、グリーンを狙うショットで稼ぐ打数37位、以下同順)やチャーリー・ハル選手(11位、50位)、リン・グラント選手(5位、33位)、ブルック・ヘンダーソン選手(12位、79位)らです。何れの選手もパーオン率は比較的高いのですが、その源泉はドライバーの飛距離という選手です。

 

当然、逆のタイプの選手もいます。西郷真央選手は、ティーショットで稼ぐ打数は0.02打、72位ですが、グリーンを狙うショットで稼ぐ打数が0.58打、22位です。パーオン率は32位となります。ドライバーはツアーで平均ですが、アイアンが良いということになります。同タイプの選手は、セリーヌ・ブティエ選手(100位、17位)、コジンヨン選手(94位、9位)などです。何れの選手も飛距離はそんなに飛ぶ方ではないですが、ショット力の高い選手になります。古江彩佳選手(69位、14位)もUSLPGA参戦後年々ショット力が上がり、このタイプの選手に入ってきています。パーオン率は18位で、得意のパットのいくつかのデータより順位が高くなっています。

 

世界No.1のジーノ・ティティクル選手は、ティーショットで稼ぐ打数0.56打、16位で、グリーンを狙うショットで稼ぐ打数0.91打、7位、パーオン率は3位と非常に高い総合力のある選手です。飛距離もある程度出て、グリーンを狙うショット力も優れている、さすがに世界No.1選手です。ティティクル選手はパットでも1.09打稼ぎ、この部門でも4位とスキのないデータです。コルダ選手も強敵ですが、この数字を維持できればティティクル選手の世界No.1は継続できると思います。

 

パーオン率の高い選手でも、その源泉が飛距離なのか、グリーンを狙うショット力なのか様々で、USLPGAのデータではそれがよくわかります。次回もUSLPGAのデータを見てみようと思います。