ネリー・コルダ選手が優勝したUSLPGA開幕戦が終わり、次は2週後のホンダLPGAタイランドになります。この間に、USLPGAのデータについても紹介したいと思います。USLPGAの場合、全ショットをデータ化し、ティーショットで稼いだ打数、グリーンを狙うショットで稼いだ打数、グリーン周りで稼いだ打数、パットで稼いだ打数を出しているので、データとしては非常にわかりやすいです。

 

このデータがあると、ドライバーは飛距離か方向性のどちらが重要かとか、ショットとパットのどちらが重要か、というような昔ながらの疑問がデータで明確に回答できます。既に過去のブログで書いていますが。この答はドライバーは飛距離の方が重要で、パットよりショットの方が重要が答です。データで見ていきたいと思います。

 

2025年のランクトップ10の選手で、ショットで稼いだ打数とパットで稼いだ打数の平均を出すと、1.13打と0.57打で、ショットの方が0.5打以上稼いでいます。トップ30まで広げても、この数字は0.90打と0.36打で、やはりショットの方が0.5打以上稼いでいます。トップ50に広げても、0.78打と0.22打と、0.5打以上ショットの方が稼いでいます。これがトップ80、つまりシード選手全員まで広げると、0.44打と0.17打と差が大きく減ります。上位のトップ選手は、明らかにショット優位の選手が多いのですが、これがシードギリギリの選手になるとパット優位の選手も目立ちます。ランク74位のカリス・デビットソン選手や75位のインドのアショック選手などがそのタイプの選手です。73位の吉田優利選手も、ショットは平均より0.25打悪く、パットで0.25打稼いでおり、このタイプになります。

 

ティーショットで稼いだ打数のトップ10を見ると、トップはネリー・コルダ選手で、他にもユヘラン選手、リン・グラント選手、ユンイナ選手、キムアリム選手、ギャビー・ロペス選手などが並んでいます。詳しい方ならすぐわかりますが、ドライバーの飛距離が出る選手ばかりです。この部門のトップ10選手で、ドライビングディスタンス最下位はロペス選手の28位となっています。飛距離の出ない選手は、正確性が良くても、ここで打数を稼ぐのは難しく、飛距離の方が方向性より重要です。日本選手でこの部門の最上位は竹田麗央選手が16位となっています。古江彩佳選手は69位、山下美夢有選手は107位です。古江選手の方が少し飛距離が出るのも影響しています。渋野選手が106位で、これはショットがぶれているので飛距離に比べて順位を落としています。それでも山下選手より上にきていますので、飛距離の優位性がわかります。

 

次回では他のデータも取り上げたいと思います。

米女子ツアー開幕戦のヒルトングランドバケーションズが気温の低さで54ホールに短縮するという異例の事態になりました。3日目が強風のため、何組かを残してサスペンデッドになり、4日目は第3ラウンドの残りだけプレーして終わるということになりました。フロリダで氷点下になったということでしたが、低温が原因で競技短縮というのは記憶にないですね。波乱の幕開けとなりました。

 

そんな中で優勝したのがネリー・コルダ選手。キャリア16勝目となりました。第3ラウンドが、強風の中8アンダー、64と異次元のゴルフがすごかったですね。コルダ選手の強さは、何と言っても飛距離を活かしたショット力です。昨年のデータでも、ショットで1.63打稼ぎ、パットは0.64打稼ぐという完全にショット型の選手です。ショットの中でも、ティーショットで0.96打、グリーンへのショットでは0.55打稼ぐという、まさに飛距離を最大の武器にしています。彼女は過去この傾向が一貫していて、2021年にはショットで2.79打稼ぐ(パットでは0.29打)という年もありました。今回のトーナメントに限っても、ドライビングディスタンスはトップ、パーオン率は2位と、本領発揮でした。

 

2位には韓国のエイミー・ヤン選手。一昨年の全米女子プロチャンピオンですが、昨年はCMEランク98位と低迷していたので、復調の足掛かりをつかんだかもしれません。今回はショットも安定していましたが、リカバリー率が100%と小技が冴えました。3位がカナダのブルック・ヘンダーソン選手。彼女も過去ショットが良くパットが課題という傾向が一貫している選手ですが、今トーナメントに限ればパットが良かったです。4位にはニュージーランドのリディア・コ選手。2日目終わったところで小技の上手い選手と書きましたが、今回もパット数がトップ、リカバリー率が3位とその実力を発揮しました。

 

日本勢では5位タイに山下美夢有選手、9位タイに古江彩佳選手と畑岡奈紗選手が入りました。山下選手と古江選手は初日やや出遅れ気味でしたから、まずまずと言うところでしょうか。畑岡選手はもう少し耐えたかったところですが、3日目は遅い組ほど強風の影響を受けた中でよく頑張りました。

 

その他の注目選手では世界ランクトップのタイのジーノ・ティティクル選手が7位タイ。彼女は、昨年のデータで、ショットで1.73打稼ぎ、パットで1.09打稼ぐというさすがのデータを残していますが、コルダ選手と比べるとパットも悪くない選手です。今回はパーオン率はコルダ選手を抑えてトップでしたが、ややパットが不調でした。今年のコルダ選手との世界ナンバー1争いはし烈になりそうです。5位タイには韓国のファンユミン選手が入りました。彼女は昨年ノンメンバーでありながら、ロッテ選手権を制し、今年からUSLPGA参戦になります。飛距離も出る選手ですし、ルーキーオブザイヤーの最有力候補です、ルーキーオブザイヤーは2年連続で日本選手が獲得していますが、今年参戦する原選手や櫻井選手の大きな壁になりそうな選手です。

 

JLPGA開幕までは1か月あまりありますが、USLPGAがヒルトングランドバケーションズで開幕しました。過去2年の優勝者だけが出場でき、39人のみ出場のトーナメントです。過去2年というのが微妙ですが、過去1年だけだと、ネリー・コルダ選手、ローズ・チャン選手、リリア・ヴ選手などが出場できなくなり、日本勢でも古江彩佳選手と笹生優花選手が救われています。

 

初日畑岡奈紗選手が6アンダー首位で開幕しましたが、2日目はなかなかスコアが伸びなかったですね。8アンダー首位には、昨年ルーキーのロティ・ウォード選手(英)とリディア・コ選手(NZ)が浮上しました。この2人は対照的なプレースタイルで、3日目最終組でプレーするのが興味深いです。ウォード選手はショットの良い選手で、昨年のデータでショットで1.76打稼いでいるのに対し、パットは0.05打平均より悪いというわかりやすい選手です。特筆すべきは、パーオン率が80%で、これは規定ラウンド数に達していないためランキングに入っていませんが、ランクトップの選手より高く、パーオン率の隠れ首位の選手です。コ選手は小技の上手い選手で、同じく昨年のデータでショットで稼いだ打数が0.34打に対し、グリーン周りのアプローチで0.53打、パットで1.10打稼いでいます。このトーナメントでも、ウォード選手がパーオン率86%、平均パット数30に対し、コ選手はパーオン率67%、平均パット数26と、両選手ともデータ通りのプレーで首位に立っています。

 

畑岡選手は、2日目1アンダー、途中苦しいゴルフでしたが、16番、18番のバーディで

1打差3位タイに付けました。畑岡選手もショットが良い選手で、昨年のデータでショットで稼いだ打数が1.26打に対し、パットでは0.16打しか稼げていません。このトーナメントでは、パーオン率72%、平均パット数27.5です。映像ではショートパットを外すなど、パットが今一つの印象でしたが、データ的にはまずまずですね。決勝ラウンドに期待です。

 

初日出遅れていた古江選手が2日目ベストスコアの66でトータル4アンダー、首位と4打差の11位タイに浮上してきました。初日のパーオンが11に対し、2日目は16とショットが良くなり、6バーディ、ノーボギーの快心のラウンドでした。古江選手の決勝ラウンドにも期待です。同じ11位タイには岩井秋愛選手もいます。

 

岩井千怜選手と山下美夢有選手も初日の出遅れから、2日目それぞれ4アンダー、3アンダーで1アンダー、19位タイに浮上してきました。山下選手はパーオンが初日11、2日目13ですので、パットでスコアを稼いでいる選手ではありますが、もう少しショットの精度を上げたいですね。開幕戦ですから、調整しながらラウンドしているかもしれませんが。

 

心配なのは笹生選手で、13オーバー、38位に沈んでいます。昨年からのスランプから脱出できていないようです。このトーナメントのパーオン率44%は低すぎます。ドライバーの飛距離はそこそこ出ていますが、明らかにショットの立て直しができていません。何とか立ち直りのきっかけをつかんで欲しいものです。

 

今回でこのシリーズは終わりにしようとかと思います。最後に取り上げるのは、1st、2nd、3rd、4th、最終ラウンドの平均スコアです。初日に強い選手や最終日に強い選手がどれだけいるのか見てみましょう。

 

先ずそれぞれのトップ5を見てみます(敬称略)。

・1stラウンド  佐久間朱莉 桑木志帆 神谷そら 荒木優奈 河本結

・2ndラウンド   佐久間朱莉 金澤志奈 河本結 桑木志帆 申ジエ 

・3rdラウンド  河本結 菅楓華 神谷そら 吉澤柚月 高橋彩華

・4thラウンド  神谷そら 高橋彩華 佐久間朱莉 鈴木愛 荒木優奈

・最終ラウンド   神谷そら 河本結 高橋彩華 菅楓華 荒木優奈

微妙な顔ぶれの変化ですね。前半強い佐久間選手に対し、神谷選手は後半強いと言えます。佐久間選手は最終ラウンドの平均スコアは7位ですので、ここを改善すれば今季4勝からもっと勝てる可能性があります。もっとも、昨年は逆の傾向で1stラウンドは11位に対し、最終ラウンドは4位でした。

 

4thラウンドは、まだまだ3日間トーナメントが多いのもありますし、予選を通らなければ、3rd、4thラウンドはありません。年間で4thラウンドが10ラウンド以下の選手もいます。ここまで少ないと1日だけのチャージや大崩れがデータに明確に出てきますので、4thラウンドは参考程度に見た方が良いかもしれません。この後は、3rdラウンドと4thラウンドが混じる最終ラウンドを1stラウンドと比べていきたいと思います。

 

他の選手を見ていきます。先ずは初日に強い選手で目立つのは、佐藤心結(1stラウンド7位、最終ラウンド40位、以下同順)、永峰咲希(9位、48位)、入谷響(12位、71位)、吉本ここね(18位、73位)の各選手です。入谷選手は、結構極端な数字ですが、ルーキーですのでトーナメント慣れした来年は傾向が変わるかもしれません。佐藤選手は2023年は最終ラウンドの方が良かったので傾向が変わってきています。吉本選手は昨年から1stラウンドのスコアだけ伸ばした感じですね。

 

逆に最終ラウンドに強い選手もいます。堀琴音(39位、15位)、葭葉ルミ(70位、7位)、山城奈々(69位、13位)、鶴岡果恋(58位、10位)、天本ハルカ(52位、23位)の各選手です。堀選手は、昨年は最終日の方がむしろスコアが悪いので、傾向が逆になっています。堀選手の若い頃の調子が良かった2016年も同様の傾向で、最終ラウンドが良くなるのは2025年だけの傾向です。葭葉選手はシード返り咲きしましたが、昨年までこの傾向はなく、3rd、4thラウンドのスコアが良くなって、ランクを上げたと言えます。ただ、葭葉選手の1stと最終ラウンドの差は極端ですね。鶴岡選手と天本選手は、2025年ほどではないですが、2024年は最終ラウンドが良くなっています。

 

こうして見てみると、初日と最終日でスコア差がある選手は確かにいますが、1年で傾向が変わる選手も多いですし、説明が難しいデータです。理屈では、選手によっては体力面で最終日にかけてスコアが落ちるとか、疲れが出てくるとスウィングが乱れやすいなどの説明はできるのですが、それが明確に当てはまる選手や傾向がないという感じです。

 

このシリーズはこれで終わりにしますが、データは今後も追っていきたいと思います。

今回はサンドセーブ率を取り上げたいと思います。バンカーから寄せワンした率ですね。バンカーが上手いに越したことはないのですが、どこまでスコアに効いてくるのかという疑問があります。サンドセーブ率と平均スコアの相関係数を出すと、0.18とかなり薄い相関しかなく、サンドセーブの良し悪しは平均スコアにほぼ関係ないと言えます。一方、サンドセーブ率はリカバリー率の一部であり、リカバリー率との相関係数は0.41と相関がやや認められますが、平均スコアまでとなるとほぼ無視して良い数字になります。

 

実際、多くの選手は年間100ラウンド前後に対しバンカー数が100前後、1ラウンドに平均1回バンカーに入れる程度です。更に、サンドセーブ率のトップがセーブ率約60%、下位が30%弱ですので、3日間トーナメントで言えば、平均3回バンカーに入れ、セーブ率が良い選手は2回パーを拾え、悪い選手は1回パーを拾えるということで、3日間トーナメントでせいぜい1打稼げるかどうかというところです。1打も重要ではありますが、ショット、パット、他のアプローチの方がはるかに重要度が高いということがデータ的にも言えます。

 

2025年のサンドセーブ率のトップ5は、柏原明日架、河本結、中村心、佐久間朱莉、都玲華の各選手で、柏原選手(平均パット4位、リカバリー率8位、以下同順)、河本選手(2位、2位)のようにパット、リカバリー率の良い選手もいれば、中村選手(31位、65位)、都選手(66位、57位)のように、パット、リカバリー率が決して良くない選手も混じっています。相関係数も示していますが、サンドセーブが他の技術と結びつかない特殊な技術であることがわかります。

 

2025年の柏原選手のセーブ率63.5%は、過去トップでも60%を超すことはまれですし、2位の河本選手とも5%以上離しており、かなり良い数字です。柏原選手は2019年にもトップを取ったことがあり、バンカーの名手と言えるでしょう。ただ、この部門の難しいところは、毎年安定して上位に入るのはなかなかできません。柏原選手も2024年は19位でセーブ率は49.6%でした。他にも、2023年トップはぺソンウ選手ですが、2025年は55位、2024年トップのリハナ選手は2025年は68位と浮き沈みが激しいです。

 

2020ー21年シーズンのトップは新垣比菜選手、次いで申ジエ選手でしたが、2025年は両選手とも74位、82位と下位に沈んでいます。しかし、申ジエ選手の場合、2025年のバンカー数は48と、規定ラウンド数に達した選手中最小、平均の半分程度であり、こうなるとセーブ率が少々低くても影響は少なくなります。因みに、バンカー数が最も多かったのが柏原選手の137で、柏原選手は最もバンカーに入れ、最も寄せワンを多く取った選手でした。バンカーが上手いからバンカーを恐れずに攻めている? 本人に聞いてみなければわかりませんが、サンドセーブ率は良くて60%に対し、リカバリー率は大半の選手が60%以上ですので、バンカーの名手でもバンカーは避けた方が無難であることは間違いありません。

 

米国に渡った選手では。JLPGAの2022年トップは吉田優利選手でしたが、USLPGAでは2024年22位、2025年53位とやや米国では苦戦しています。西村優菜選手はUSLPGAで2024年この部門トップ、2025年は35位で、2025年は少し落ちましたが、この分野では実力を発揮しています。山下美夢有選手は、2024年JLPGAで2位、2025年USLPGAで5位と、ここでもさすがのデータを残しています。

 

次回でこのシリーズは最後にしようかと思います。