翌日の朝、彼から

「昨日はありがとう」

とメッセージが来た


その次の日も「ありがとう」と来た

会った時にも

「しーちゃん、いつも一緒にいてくれてありがとう」と言われた




普段穏やかな彼が落ち込む時は、ただ事ではないと私も心配になる

だから彼をそっと包み込みたいと思う


だけど…たまに思うことがある

私は家で傷付いた彼を癒すためにいる訳ではなくて

彼が元気になって家に戻っていくためにそばにいる訳でもない


私が費やす時間や気持ちが、彼が家に戻る元気を取り戻すために使われるのなら

なんだか私は報われないな…と思う


今回もそうなるのかなと思うと腑に落ちない



彼がいつもみたいに笑ってくれたら嬉しい

力になりたいし、支え合っていきたい

だから私は彼のそばにいる


彼も少しずつ元気になり笑顔も戻ってきた

他愛のない話をして、彼も普段通りになってきたことに安心した




帰り際に今月のデートはどうする?と話していた

最近ゆっくり会っていなかったから、行きたい候補はたくさんある


どうしようかな?と心弾ませながら話していると


彼から

「しーちゃん、〇日は◯時まででもいいかなぁ?」と聞かれた


いつもより早いな…仕事かな?と思い

「ダメって言ったらどうするー?」

なんて意地悪っぽく聞いてみた


聞いてみたものの、仕方ないよねと思っていると   


彼が

「その日子供の行事があって…」 

と言ってきた


またか…


その日はあなたが指定した日だった

私は仕事を調整して休みにした

その日は私の試験のお疲れ様会をしようって言ってたのに…


いつもあなたはそうやって予定を後出ししてくる




約束する時に

「その日は〇時から用事があるから、早めの解散でもいい?」

って言ってくれたらまだ良かったのに


そして先に約束した私の時間は削られていく

たかが数時間だけど、私には大切な時間なのに



ダメなんて言えるわけもなく、

だけどあの時もあの時も…と同じ出来事があったなと思うと悲しくなってきて


「じゃあその日はなしにしよ。私、仕事行くよ。もともと行こうと思ってた日だし」

感情的にならないように言った


彼は少し驚いた様子だった

きっと私が拗ねながらも了承すると思ったのだろう


「そっか、わかった。じゃあ自分も〇時まで仕事行こうかな」

と彼も言った




何も言葉が出なかった





「帰るのは早くなるけど、それまでは一緒にいたい」とも言われず

自分が後回しにされたような虚しさが込み上げる


今までも同じことがあった



拗ねながらも受け入れるしかなかった

気まずくなることもあったし、喧嘩だってした


もし逆だったら、彼はすぐに「いいよ😊」って言ってくれるだろう


快くいいよって言えない自分も嫌だし、

いつも間際になって後出ししてくる彼のことも嫌だった


私にとって彼と過ごす時間はとても大切なもの、いつもこれが最後かもしれないと思っている

少しも取りこぼしたくない

そんな思いでいる

だから二人の時間をそんなに軽く渡すことはしたくない




彼とぎくしゃくした数日を過ごして、やっとまた穏やかに過ごせると思ったのに

自分の気持ちに折り合いをつけて立て直したのに、またこんな気持ちになるのか…




気を緩めたら涙が出てしまいそうで、必死に堪えた

そんな私の顔を通り過ぎる車のライトが照らす


私の表情を見て彼がはっとしたのが分かった


申し訳なく思ったのか

「明日は仕事少し早く終わるから…」

と言っていたけど、私の心には響かなかった


帰る予定の時間も過ぎていた


「帰るね」といってそのまま振り返らずに歩き出した


いつもは別れ際には手を繋いで、バイバイをするけど、そんな気にもなれなかった



歩きながら視界が滲んでいくのがわかった


「どうしていつもこんな思いしなきゃいけないんだろう」

と、つぶやいていた