皆さま ごきげんよう

この連休、 私は 九州の佐賀県伊万里市の

秘窯の里 「大川内山」を 訪ねて来ました。

鍋島藩窯跡国の 史跡指定されている

伊万里の街を 時間ある限り 堪能してまいりましたので

皆さまに ご紹介いたしましょう。



「伊万里焼」とは、 有田(佐賀県有田)を中心とする

備前国 (現在の 佐賀県 及び 長崎県)で 生産された

磁器の総称であり、 製品の 主な 積み出し港が

〝伊万里〟であったことから 「伊万里焼」と 呼ばれたのです。

有田地区の製品を 「有田焼」、 伊万里地区の製品を

「伊万里焼」と 呼び分けるようになったのは

近代以降、 船に変わって 鉄道が 輸送の主力に

なってからのことなのです。

また 現在では 赤絵に金を施した物を 「古伊万里」と

呼んでいます。

1610年代から 1630年代頃までは「初期伊万里」と称し、

白磁に青一色で模様を表した染付磁器でした。

1640年代に 有田西部の山辺田窯(やんべたがま)などで

色絵磁器の生産が創始され、「初期色絵」と称されたのです。

この頃から鍋島藩が 将軍家・諸大名などへの

贈答用の高級磁器を製造、「鍋島焼」と呼ばれるのです。

そして1670年代になると 白磁の地に ほとんど青味のない

乳白色の素地が作られ、この素地に色絵で

絵画的な模様を表したものを「柿右衛門様式」と

呼ばれるようになったのです。

1690年代には 染付の素地に 赤・金などを使った絵付けを

施した製品が作られるようになり、「古伊万里金欄手(きんらんで)」と

呼ばれ、 ヨーロッパ向けの輸出品となったのです。



鍋島藩の窯 「鍋島御庭焼 (なべしまおにわやき) 」は

伝統ある 輪島藩御用窯の 唯一の 直系の窯元です。

現在は五代目市川光春(こうしゅん)さんが窯主となって

伝統を守られています。

写真右手の建物が 市川光春さんの展示館となっています。

 

展示館の中に 市川光春さんを取り上げた雑誌も

ありました。

 
 
下の家紋が 「杏葉の紋」。

御庭焼は 鍋島藩当主より 唯一、この家紋を焼き物の裏などに

使用を許された窯元です。

この家紋を  代々 守り続けているのです。

 

器の形も 美しく、 手で描かれたとは思えない精巧な絵付けの作品を

ご紹介しましょう。

  
  
  


こちらは「畑萬(はたまん)陶苑」さんです。

器でなく お人形の伊万里焼ですが 着物の柄の

美しさと言ったら 見事としか言いようがありません。

 

こちらは〝狗筥(いぬばこ)〟と呼ばれ、

顔は幼児に似せ、身体は伏せた犬の姿で、

男犬、女犬を 一対としたお人形です。

 

お雛祭りは終わってしまいましたが 伊万里焼きのお雛様。

それぞれの 着物の柄の細かさには 驚かされます。

手前に〝狗筥(いぬばこ)〟が対で 置かれています。

 

可愛らしいお雛様が 沢山ありました。

  
  
  

もうすぐ 端午の節句。   兜や桃太郎、そして、鯉のぼりもありました。

  

こんな ふくよかで 色鮮やかな 桃太郎さんもいました。

 

素敵な 香水瓶も 色々ありました。

ガラスとは また違って 落ち着きがありますね。

 

美しい模様の〝香合〟も ありました。

 

こちらは 箸置きです。  どちらもうさぎ・・・・・平面と立体、

どちらがお好きですか?   私、 両方 買って帰りました。

お月様にうさぎも 可愛らしいこと、 もう片方は ひとつひとつ 表情が違います。

  

見事なまでの 細かい細工の 龍の置物です。

 

こちらは なんと LEDのランプです。

灯りを点すと 美しい模様が 眩しく 浮かび上がります。

その上、 色まで変わり ピンクになったりします。

 
 
ちょっとひと息、 お茶を飲むのも 素敵な器で出てきたので

思わず にっこり・・・・・美しくて ため息が出ました。

一輪挿しも 瀟洒で 可愛らしいのです。 

お茶のグリーンも お菓子の色も なんて器にマッチしているのでしょう。

春のおもてなしそのものですね。

おもてなしをして下さったのは 工芸士である 畑石真嗣社長です。

 

街を歩いていると 手書きのお皿まで 塀の一部のように

飾られているのです。

  
 

他にも 「伊万里陶苑」さんにも 立ち寄らせていただき、
 
金子秀樹社長に 説明を受けながら 作品を見させていただきました。



日本で唯一の藩窯(藩直営の窯)は 職人達の身分が

保証される代わりに、 製品の質の確保と 製造技術の

漏えい防止のため、 厳しい藩の 統制下に置かれていました。

おもに 藩主の所用品や 将軍家、天皇家、諸大名などへの

献上品などを製造し、 民間への流出を 厳しく禁じていたのです。

街の端には 〝関所〟もあり その秘法は 守られていたのです。

街の入り口には 「伊万里」 〝大川内山〟の

みて歩きの地図が 伊万里焼で作られ、案内版となっていました。

 

街のあちらこちらに「伊万里焼」が使われています。

どれも 美しい模様で 感動します。

  
 
歩く足元にも カラフルな伊万里焼きが モザイクのように 埋められています。 



こちらは 伊万里焼の土を 掘っている陶石の山です。

焼き物は土によって その特徴が現れるので

この土こそが 大事な資源です。

「篠英陶磁器株式会社」の社長で

有田焼卸団地協同組合の理事長もなさっている

篠原照比古氏に 案内していただきました。




こちらは 「陶工の碑」です。




 
 伊万里 大川内山は 街全体が 焼き物一色で

沢山の窯元が見学できたり とても焼き物好きには

たまらない街です。

ゆっくり ひとつひとつ もっと時間をかけて見学したいです。

春の窯元市が 4月にあります。  お時間がありましたら

是非行かれると楽しいのでは? 但し、ものすごい人出だそうです。


皆さま いかがでしたか?