葛城の迷宮 -66ページ目

『母なる証明』

漢方薬店で働く母(キム・ヘジャ)は、早くに夫を亡くして以来、子供の心を持ったまま純粋無垢に育った一人息子トジュン(ウォンビン)と静かに暮らしていた。
『小鹿のような目をしている』と、近所の人たちには可愛がられているようだけど、遊び仲間のジンテ(チン・グ)にいつもからかわれている。
ある日、街で女子高生が惨殺される事件が起こり、トジュンが第一容疑者になってしまう。
事件の解決を急ぐ警察は、乏しい物証にも関わらずトジュンを犯人と決めつける。
無能な弁護人も頼りにならない中、母は自分の手で真犯人を捜し出し、息子の無実を証明しようとするのだが…。

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『吠える犬は噛まない』脱力系ブラックコメディ。
『殺人の追憶』連続暴行殺人鬼を追う、実話を元にした刑事二人のドラマ。
『グエムル-漢江の怪物』ソウル市内に逃げ出した遺伝子操作の怪物と、それに立ち向かうダメ家族のドラマ。

発表する作品のジャンルは様々だが、全てクオリティの高い傑作ばかりというポン・ジュノ監督。
脚本、演出の力量の高さが日本を含め、アジア圏では遥かに飛び抜けていると思っている。
そして、今回の作品は『オバサン探偵 ダメ息子の無実を証明するため東方西走』ってトコか。

オープニング、草原を力無く歩いているオバサンが、ふと立ち止まったかと思うと、突然踊りだす。
何じゃ、コレ!?
でも、このオバサンから目を離せない。

主演のキム・ヘジャは『韓国の吉永小百合』と言われているらしいが、率直に見た目だけでいうと、
中村玉緒+市原悦子+高畑敦子に×3
くらいキョーレツなインパクトの女優だ。

女子高生を殺した罪で逮捕される息子にウォンビン。
かつて「韓流四天王」などと呼ばれていたが、今回はカッコいいところは一つもない役だ。
けれど求められる正確な演技を理解している。
たまにキムタクに見えるのは、ぼくの目が節穴だからか?

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どんでん返しの結末などでは無く、極めて正攻法のドラマを見せる。
観客の心理を巧みに利用した脚本が素晴らしい。
何が善で、何が悪か?
母親として息子のために、どこまでのことができるのか?
数あるミステリー映画と比較しても、遥かに高い完成度と衝撃。

『ダークナイト』の時に、度肝を抜かれると書いたけれど、今回は
膝から崩れ落ちるくらいのショックを受けた。

ポン・ジュノがいる限り、日本映画は韓国映画を超えることはできないのか。
あるいは、西川美和なら超えられるか。
脚本・監督を兼ねる両人は、物語の深さを全て知っているので、発表される作品の完成度も非常に高い。
ポン・ジュノは常に高い期待に答えてくれる、数少ない監督のひとりである。

監督:ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ
    ウォンビン
    チン・グ



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