『エクソシスト』 | 葛城の迷宮

『エクソシスト』

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:エレン・バースティン
    リンダ・ブレア
    ジェイソン・ミラー
    マックス・フォン・シドー
    リー・J・コッブ


イラクの古代遺跡を発掘中、考古学者でもあるメリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪霊パズズの偶像の頭部を発見。
灼熱の砂嵐が吹き荒れる中、メリン神父はこの偶像の発見に10年前のアフリカでの出来事を重ね合わせ、不安を胸にアメリカへと帰国する。

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場所は変わり、ワシントンのジョージタウン。
バーク・デニングス監督の映画撮影のため、人気女優クリス・マクニール(エレン・バースタイン)は、一人娘のリーガン(リンダ・ブレア)と豪華な屋敷を借りて暮らしていた。
ベッドが軋むので眠れないと、クリスのベッドに入って来るリーガン。
確かめるためにリーガンの部屋へ向かうと、屋根裏で何かが動く音が響いた。
クリスは使用人にネズミを捕まえておいて、と指示を出す。


同じジョージタウンの教会で、説教を行うダミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)。
精神医学の分野にも詳しい彼は、痴呆を患って入院していた母親を看取ることができず、後悔の念に苛まれていた。
母親の孤独と不幸を取り除くことが出来なかった彼は、信仰にさえ疑問を抱き始める。

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ある日リーガンは、ほんの些細な体調不良をクリスに訴える。
病院での検査によると、成長期のホルモンバランスの低下で、精神が不安定になっているのであろうという診断だった。

各界の名士を集めたパーティの夜、寝ぼけたリーガンがベッドから起きだして居間へやってくる。
そして突然、客の一人である宇宙飛行士に向かって「宇宙で死ぬわ」と言い放ち、その場に失禁してしまう。

大病院で最先端の検査を受けたリーガンだが、検査の結果、何も異常が見当たらなかった。
しかし数日後の夜、リーガンの悲鳴を聞きつけて寝室にかけ上がったクリスは、一瞬わが眼を疑った。
リーガンを乗せたベッドが何者かに動かされるように、上下左右に激しく揺れていたのだ。

クリスは担当医師と相談した結果、精神科医の催眠治療を試みる。
その診察中、リーガンはいきなり医師の股間に手を伸ばして凄まじい勢いで締め上げ、
「触るんじゃない!この牝豚は俺のもんだ!」と叫ぶ。
それはリーガンの声とは明らかに違う、別人のものだった。

ある日、クリスが外出先から帰宅すると、映画監督のバークが屋敷の裏にある階段から転落して首を骨折、死亡したと聞かされる。
バークは彼女が留守と知らず、屋敷に訪ねて来ていたのだ。

バークの死亡事故に疑問を持ったキンダーマン警部(リー・J・コッブ)がクリスを訪ねてくる。
しかしこの頃には、リーガンの形相はすでに豹変していた。
あどけなかった顔が醜くく変わり果て、神を冒涜する邪悪で卑猥に満ちた言葉をまき散らす。
「ファック・ミー!」
「イエスはお前とやりたがっている!」

「いやよ、やめて!!」

全く別人の声とリーガンの泣き声とが、同じ口から交互に発せられる。

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万策つきたクリスと医師団は最後の手段として、
「悪霊が取り憑いたという自己暗示に掛かっているのなら、ショック療法のひとつとして、“悪魔払いの儀式”を行なってもらう」
ということだった。
そしてクリスは“悪魔払い”を依頼するために、カラス神父を紹介してもらう。
しかし神父は悪魔憑きに否定的で、精神医学の見地から診察するという返事をしてリーガンに会うため、屋敷に向かった。
そこで、尋常ではないリーガンの言動、そしてカラスの全てを見透かしているその様子に戦慄を覚える。

リーガンが完全に自分の意思を伝えることができなくなったとき、
カラス神父は彼女から助けを求めるサインを受け取る。

とうとう彼は、メリン神父の力を借りて最後の手段、
“悪魔払いの儀式”を行うことを決意する・・・


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ホラー映画の古典だという人がいる。
オカルト映画の原点だという人がいる。
しかしこの作品は、自己暗示に掛かった娘を救うために奔走する母親と、
少女を助けることで、自分の魂の救済を願った神父の物語である。


『フレンチ・コネクション』でアカデミー主要5部門を受賞したウィリアム・フリードキンが、次に製作することを選んだのがこの作品。
1971年に起こったメリーランド悪魔憑依事件をもとにした、ウィリアム・ピーター・ブラッティの原作小説の映画化。
もともとドキュメンタリー監督だった彼は、この信じられない物語から、派手な演出を徹底して削ぎ落として撮ることにより、悪魔憑きの恐ろしさを印象付けた。
アカデミー賞10部門ノミネート。
脚色賞、音響賞受賞。



残酷な描写はなく、血飛沫もない。(病院での血液検査等はあるけど)
多少ショッキングなシーンはあるけど、通常のドラマ作品程度だ。
あらすじにある映画監督の事故死に関しては、野次馬が少し集まっている横を通り過ぎるだけの描写である。

しかし何がスゴいって、この作品を最後まで観ても、
悪霊や悪魔の正体は現れない。
少女の姿を通じて、別の何者かの存在を感じるだけです。
(悪霊の顔が見えた?気のせいですよ・・・気のせい)

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ジョージタウンのロケーションが素晴らしい。
スター女優が借りている屋敷という設定なので、ベッドやシーツ、燭台などの調度品の質感も高い。
1970年代を舞台にしているとは思っても、とても40年近く前の作品とは思えないくらい。
全てにおいて高い完成度。
悪魔払いの儀式さえ、美しく感じる。
究極に突き詰めた、命を懸けた形式美だ。


リーガンがウィジャボード(日本の狐狗狸コックリさん)で、占いをしていたシーンからもあるように、日本の狐憑きと同じような自己暗示にかかったことを思わせる症状が見られる。
・目尻が吊りあがったり、目が充血する等、表情が豹変する
・人格が変ったように急に暴言を吐きだす
・卑猥な言葉を言ったり罵ったりする
・他人や自分に対して暴力を振るったり、奇妙な行動をとる

”テーブル・ターニング”って言うらしいけど、世界中同じなんだな。
昔、つのだじろう『うしろの百太郎』っていうマンガに、コックリさんの呼び出しで失敗して、霊が女の子に憑依するっていうエピソードがあったけど、思いだしたら描写がソックリだわ。
(キューピッドさんってのもあったなぁ・・・あの頃、女の子たちは命懸けで占いしてたのか・・・。(;°皿°)

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リーガンを演じたリンダ・ブレアが素晴らしい。
当時は役作りに参考になるようなものも無かったと思うけど、今では彼女の演技がスタンダード。
どんな指示を受けてたんだろ?
アカデミー助演女優賞ノミネート。

カラス神父を演じたジェイソン・ブレア。
ちょっとS・スタローンに似てる。
元ボクサーの役なので、”色白のロッキー”みたい。

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メリン神父役のマックス・フォン・シドー。
役の上では、健康上問題のある高齢の神父だけど、撮影時は44歳。
ビックリ!!
メイクがスゴいの!?
演技がスゴいの!?
『ロビン・フッド』で見かけたとき、「昔からおじいちゃんだよなぁ・・・」って思ってた。
製作当時、撮影が終わったらメイクを落として、お洒落なジャケットを羽織って帰ってたらしい。

あの有名なテーマ曲は、この作品のために作曲されたんじゃなく、マイク・オールドフィールドの『チューブラーベルズ』から借りてきたもの。(←友人からの受け売りです)

ホラー好きには物足りないかも知れません。
でも正統派ドラマ好きには、

ジャンルを超えた素晴らしい完成度の傑作です!!

途中からメイキングに変わるので注意。


昔着メロにしてて、めっちゃ引かれた・・・


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